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NICT、超高密度半導体量子ドット形成技術の世界記録を更新

May 26, 2010, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、光通信用デバイスでの利用が期待される半導体量子ドット構造の形成技術において、300層の量子ドットを積層することに成功し、世界記録を更新した。この密度は通常作成される自己組織化量子ドットの100倍以上になる。
 また、この超高密度半導体量子ドットの性能を利用した半導体レーザを試作し、80℃までの温度環境で通信波長帯域のレーザ発振に成功した。これにより、温度調整不要な広帯域レーザが実現でき、ネットワークの低消費電力化及びコスト低減に貢献できる。
 これまで多くの研究機関で自己組織化機構による半導体量子ドットの作製方法が研究されている。自己組織化機構による形成技術は高品質な半導体量子ドットが形成できるというメリットがある一方で、結晶中に歪みが残留し、高密度化に限界があることが課題とされてきた。NICTでは独自の歪補償技術により半導体量子ドットを多重に積層する構造を考案した。
 今回この技術を高精度化し、従来のNICTでの記録の2倍の層数である300層の半導体量子ドットを積層することに成功した。この密度は通常作製される自己組織化量子ドットの100倍以上になる。また、この技術を用いた半導体量子ドットレーザを試作し、通信波長帯である1.55μm帯でのレーザ発振に成功した。この半導体量子ドットレーザでは、温度に対する発振しきい値電流の無依存性を示す特性温度という値が、これまでの1.55μm帯半導体レーザで最も高い値を示し、高温での動作を実証した。
 この技術により、温度調整不要な光通信用デバイスが実現され、ネットワークの低消費電力化へ貢献できる。また、光と相互作用する量子ドットの数が飛躍的に増加するため、光通信以外でも超高効率太陽電池、量子情報通信用デバイス等への応用が期待できる。
 NICTは、半導体量子ドットレーザにとどまらず、量子ドットの高密度性を利用した様々な光通信用デバイスへの応用研究を推進し、共同研究などを通じて高密度量子ドットが必要な新しい分野への展開を進める。

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