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理研、超伝導人工原子を組み込んだ新量子光学デバイスを開発

May 17, 2010, 和光--理化学研究所(理研)は、巨大な人工原子となる超伝導量子ビットと、マイクロ波が通過する伝送線(導波路)を強く結合させて、固体電子素子上で新たな量子光学デバイスを実現した。
 「自然原子」は、その種類によってそれぞれ異なった量子準位を持っており、レーザ、電磁誘起透明化、光速度の遅延などを実現する基本原理になっている。一方、集積回路の微細加工技術が飛躍的に発展した結果、「人工原子」と呼ぶ巨大な原子が固体電子素子上で開発されている。この人工原子は、自然原子と同様に量子準位を備えるとともに、ほかの電子素子と微細加工技術によって強く結合させることができるため、外部から直接、人工原子を制御することが可能となる。
 研究グループは、1つの超伝導量子ビットを直径約1μmの巨大な人工原子と見立て、アルミニウムでできた伝送線に結合するだけという極めて単純な固体電子素子を作製し、自然原子と光子が引き起こす相互作用と同様の量子光学現象を観測することに成功した。この人工原子が自然原子と同様に光子を散乱させる「巨視的量子散乱」を引き起こし、入射したマイクロ波領域の光子をほぼ完全に反射する現象や、単一光子レベルでの誘導放出と増幅(メーザ)を観測した。さらに、この固体電子素子の外部磁束バイアスの条件を変化させた結果、外部からの光(マイクロ波)の照射によって人工原子が光スイッチとして動作し、伝送線を伝播する光が通過・遮断(オン・オフ)することを発見。この光スイッチはエネルギーの損失が無く、現在注目を集めている光子を量子ビットに用いた量子計算機などへの応用が期待できる。
 これは、理研基幹研究所(玉尾皓平所長)巨視的量子コヒーレンス研究チームの蔡兆申(ツァイ ヅァオシェン)チームリーダー(日本電気グリーンイノベーション研究所主席研究員兼務)、日本電気量子計算チームとの共同研究による成果。
(詳細は、www.riken.go.jp)

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