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NICT、公開鍵暗号の安全性の根拠となる計算で世界記録を更新

February 24, 2010, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、公立はこだて未来大学との共同研究として、「有限体上の離散対数問題」について、これまでの世界記録を大幅に上回る676ビット長(10進数で204桁に相当)の計算に挑戦し、解読に必要なコンピュータの能力評価に初めて成功した。
公開鍵暗号では、この問題の計算が困難であることが安全性の根拠となっている。今回の成果は、現在広く利用されている1024ビット長の暗号が直ちに安全でなくなったことを示すわけではないものの、より強い暗号技術を将来導入する必要があることを示唆する結果であることから、国際標準を決定するISOや、我が国の電子政府に採用すべき暗号を推奨するCRYPTRECプロジェクトなどの場において、その導入時期を検討するための重要な技術的根拠となる。
現代の情報システムには、情報セキュリティの観点から様々な暗号技術が用いられている。そのため、悪意を持った攻撃者の解読能力の進歩に対して常に安全性を確保するための暗号技術の評価が必要になる。この評価において重要な役割を果たすのは、暗号技術のベースとなる数学的な問題で、その計算が、現在および将来にわたり想定しうるコンピュータの能力によっても、困難であることを確認すること。
暗号技術では、より大きな数字によって秘密情報を表現するほど安全性が向上する反面、処理性能の低下をきたすため、秘密情報を表現する適切な大きさを見積もることが重要となる。研究チームは、今後普及が見込まれる公開鍵暗号方式のベースとなっている離散対数問題について、676ビット長の場合に、汎用コンピュータ18台で33日と、現実的な計算機環境と処理時間で計算できることを世界で初めて実証した。この成果は、今後のコンピュータの処理能力の向上によって、現在広く使われている1024ビット長の暗号技術の安全性が2020年までに危うくなるという将来予測(CRYPTRECプロジェクトによる)で示されている経過を裏付けている。さらに、世界最長ビットに対する計算に成功したことは、我が国の暗号技術の評価能力が世界トップレベルにあることを示す結果といえる。
この成果は、公開鍵暗号に関する世界有数の国際会議であるPKC2010(5月26日〜28日:パリ)で発表する予定。また、CRYPTRECプロジェクトに報告し、CRYPTRECシンポジウム2010(3月2日〜3日:東京)で紹介する。

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