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光リソグラフィの限界性能を引き出すマスクパターン最適化技術を開発

February 18, 2010, 東京--東芝と、産業技術総合研究所(産総研)は、高密度集積回路(LSI)向け露光技術の精度を約20 %向上できるマスクパターン最適化技術を共同開発した。同技術により、現行の液浸ArFエキシマレーザ露光装置を1技術世代以上延命することが可能となる。
 今回開発した技術は、マスク上の非解像パターンの最適配置を決めるアルゴリズム(計算手法)であり、局所最適化を繰り返して効率的に最適解を得る「最適勾配法」の採用等により、寸法精度を約20 %向上している。非解像パターンは、メインパターンの転写像を変調させて解像度・寸法精度を向上させるサブパターンであり、その配置を最適化する計算は、露光精度が限界に近づくにつれて困難となり、精度向上の制約となっていた。
 東芝と産総研では、この成果について、2010年度中の実用化を目指して改良を続ける。
 ArFエキシマレーザ光源による露光技術は、光の位相変調を利用する位相シフトマスク、水によって光の屈折率を高める液浸技術など各種高解像技術により、30 nm世代まで延命されてきた。しかし、次の世代では液浸ArF露光が精度限界となり、2段階で微細な像を転写するArF2回露光や、より短波長なEUV露光への移行が必要との予測もある。一方、液浸ArFエキシマレーザ露光装置のさらなる延命も期待され、東芝と産総研では、露光マスクの改良による延命を目指し、研究に取り組んできた。
 従来、非解像パターンの配置を決める計算手法として、メインパターンとの距離を規定した上で最適化する「ルールベース手法」や、光学系の非線形関数を用いて推定する「干渉マップ手法」、所望の転写パターンから逆演算する「インバースリソグラフィ」などの手法がある。それぞれ、パターン配置の多様性を欠く、高速だがパターンによっては最適配置からの微小なズレが生じる、処理時間が膨大になるという課題を抱えており、露光精度向上の障壁となっていた。
 東芝と産総研では、非解像パターンを最適配置するための「最適勾配法」をベースとした独自アルゴリズムを開発した。「最適勾配法」は、局所探索の代表的手法で、現在の解の近傍において最も改善される解を採用するという作業を繰り返し、効率的に最適解に到達できる。これにより、寸法精度は従来から約20 %改善となる6 nmを実現。また「干渉マップ法」と組み合わせることで、高精度化と高効率化の両立を実現した。

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