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IBM、高効率太陽電池で世界記録

February 18, 2010, Armonk--IBMは、簡単に入手できる元素で構成された太陽電池を作製し、新たな効率世界記録を達成した。この太陽電池は、より安いコストで多くのエネルギーを生み出す太陽電池技術を実現する可能性がある。
 銅(Cu)、錫(Sn)、鉛(Zn)、硫黄(S)、セレン(Se)で構成されるこの電池の変換効率は9.6%で、この材料の組み合わせで得られた以前の値よりも40%高い。太陽電池研究を進めるためにIBMは、同社の世界最高クラスのマイクロプロセッサ技術、材料および製造の専門家を利用している。
 「太陽からは1時間で、地球全体が1年で消費するよりも多くのエネルギーが降り注いでいるが、現在の太陽電池は電力供給の0.1%以下の貢献しかしていない、主にコストが制限要因となっているためだ」とIBM研究所で、この太陽電池を開発したDr. David Mitziはコメントしている。「ワットあたりのコストが通常の電力生成に匹敵するソーラ技術の開発、またテラワット級で導入することが大きな課題であり、われわれの研究はこの課題克服に一歩近づいた」と同氏は続けている。
 この太陽電池の開発は、これまで一般的だった真空技術ではなく、ナノ粒子ベースのアプローチを採用している点で先行者とは一線を画している。この変更によって製造コストの大幅抑制が見込める。その理由としてIBMは同アプローチが、プリンティング、ディップ、スプレイコーティング、スリットキャスティングなどの堆積技術をベースにした高スループット、高い材料利用率が期待できることを挙げている。
 化合物半導体をベースにした現状の薄膜太陽電池の効率は9〜11%レベルであり、主に2種類の高価な化合物、銅・インジウム・ガリウム・セレンもしくはカドミウム・テルルから作られる。インジウム、ガリウム、カドミウムを使わない、安価で地球上に豊富にある材料で太陽電池を作る試みでは、効率は6.7%以下。それに対してIBMは、9.6%の効率を達成した。
 IBMは、太陽電池製造計画はないが、この技術を実証するために太陽電池メーカーとの提携には扉を開いている。

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