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プロジェクションディスプレイなどの心臓部である光走査素子を新たに開発

February 10, 2010, つくば--産業技術総合研究所(産総研)先進製造プロセス研究部門集積加工研究グループ 朴載赫研究員、明渡純主幹研究員(兼)集積加工研究グループ長は、プロジェクション(投射型)ディスプレイなどに用いるメタルベースの高速光走査素子(光スキャナ)を開発し、高性能化と低コスト化を実現した。
 今回開発した光走査素子では、独自に考案したラム波共鳴圧電駆動方式を採用し、プロジェクションディスプレイへの利用に必要な、25 kHz以上の高速走査速度と20 V以下の低駆動電圧で、100度以上の大きな光学的走査角度(ミラー振れ角)を達成した。また、メタルベース構造とすることで、製造コストをこれまでより 1/10に削減できる。3万時間以上の連続耐久試験もクリアしており、2万回の走査時において走査時間の変動幅がナノ秒オーダーレベル以下であった。
今回開発した光走査素子は、駆動電圧20Vで走査角度100度以上と、従来の圧電駆動型光走査素子に比べて、5〜10倍以上の大きな走査角度が実現できた。これは、同一の走査角度を得るための駆動電圧でみれば、5〜10分の1程度に低減できたともいえ、消費電力は100 mW以下で、低駆動電圧、低消費電力が求められるモバイル用途などに適したデバイス応用への道が開けた。
ミラー走査精度に関しては、大気中で電気的制御の無い状態において、28 kHzの走査速度、90度の光学走査角度、2万回の走査回数において、走査時間(走査周期)の変動幅はナノ秒オーダーレベル。この走査精度は、実用的なプロジェクションディスプレイに十分適用可能な性能であり、例えば、3ナノ秒以下の走査精度性能はハイビジョンクラスの高解像度ディスプレイに適用できるレベル。開発したメタルべース光走査素子は、現時点で3万時間以上の連続耐久試験をクリアしている(現在も継続耐久試験中)。従来、この様な用途で金属材料を構造材に使うことは、金属疲労が問題視されてきたが、今回の結果はその常識を覆す新しい知見であり、また、民生機器製品に十分応用できる水準。
 今回開発した素子は従来提案されているシリコンベース光走査素子では実現できなかった高速走査速度と広い走査角度を両立できた。光走査素子のサイズについても、数mm角から数10 mm角までのさまざまなミラーサイズに対応が可能で、2次元光走査素子も試作済みであり、幅広い応用が期待できる。また、製造コストの面でも、材料単価で金属バネ材はシリコン材より2桁ほど安価で、また、クリーンルームなどの高価な製造インフラが不要であるため、強い価格競争力が期待できる。
(詳細は、www.aist.go.jp)

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