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光通信の限界を超える新しい信号増幅の原理を世界で初めて実証

February 9, 2010, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、従来の光通信の限界を超える新しい信号増幅の原理を世界で初めて実証した。
これは、量子もつれと呼ばれる信号間の特殊な結びつきの強さを増幅する技術。量子もつれは減衰に極めて弱く、伝送途中で増幅する操作が必須。特に、光通信の限界を克服するためには、単一光子間の量子もつれのみではなく、多くの光子を含んだ量子もつれの増幅が必要だが、これまで実現されていなかった。今回の成果により、低電力・大容量通信へ向けた研究開発に新局面が開かれることになる。
現在の光通信の限界を超える新技術として期待される量子情報通信では、空間的に離れた複数の信号間に、量子もつれと呼ばれる特殊な結びつきを作ることが重要。この量子もつれをネットワーク上の様々な場所で利用することで、超並列計算や、盗聴不可能な暗号通信、さらには低電力・大容量通信が実現できる。しかし、量子もつれは減衰に弱いため、伝送途中で壊れてしまった量子もつれから、強い結びつきを回復し、増幅する操作が欠かせない。特に、光通信の限界を克服するためには、現在使われているレーザ光と同様に、多くの光子が集まった波の状態の間で量子もつれを形成し、増幅する必要がある(いわゆる多光子量子もつれの増幅)。このような操作は、これまでに実現されている単一光子間の量子もつれ制御より難易度が高く、これまで実現されていなかった。
NICTでは、それぞれに最大10個程度の光子を含んだ、2つの光パルス間の量子もつれの強さを増幅することに、世界で初めて成功した。ここで鍵となったのは、NICTが独自に開発した、信号パルス内の光子をフィルタリングする技術。EDFAなど従来の光信号増幅技術には限界があり、減衰した量子もつれを増幅することは不可能だった。今回の原理では、その限界を超えて量子もつれを回復・増幅することができる。出力で得られた状態は、これまで世界で観測された光の状態の中で、最も純度が高い状態になっている。この技術は、与えられた送信電力を用いて最大の伝送容量を実現するために必須の技術であり、光を用いた量子計算のためにも重要な一歩。
量子もつれを形成する信号パルス内の光子数を、さらに数10光子レベルまで増やすことができれば、将来ネットワークの中継点や結節点(ノード)で、今回実証した原理を利用することが可能になる。さらに、ノード内でこの増幅原理と量子計算を組み合わせることで最低電力・最大容量の通信ネットワークを実現することができる。
(詳細は、www.nict.go.jp)

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