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東大と大日本印刷、ナノフォトニック階層型ホログラムを開発

September 16, 2009, 東京--東京大学と大日本印刷は、ホログラムの立体画像を損なうことなく、新たな情報を付加することができる「ナノフォトニック階層型ホログラム」の作製に成功した。2009年9月の応用物理学関係連合講演会で発表された。
一般的なホログラムは、光の波長程度の寸法の表面凹凸構造に起因する回折像に基づいて記録した立体画像を再生するものであり、光の回折限界以下の寸法をもつナノ構造は原則として立体画像の見た目に影響を与えない。同時に、ナノ構造の表面付近には近接場光と呼ばれる微小な光が存在している。
ナノフォトニック階層的ホログラムは、ホログラムパターンの内部に、特定の近接場光を発生するナノ構造を微細加工したもので、ホログラムの立体画像に対して干渉しない近接場光の読み取りを可能としている。したがって、ホログラムの見た目を損なうことなく、付加的な情報や機能を追加することができる。すなわち、ホログラムの立体画像の情報を「伝搬光レイヤー」、近接場光で得られる情報を「近接場光レイヤー」として、同一のホログラムで独立した2階層の情報レイヤーを取り扱うことができる。
今回開発したナノフォトニック階層的ホログラムは、3次元のコンピュータグラフィックスにより作製されるホログラム『バーチャグラムR』の内部に、要素構造の最小寸法が50 nmのピット構造によるナノ構造を埋め込んだものとなっている。近接場光レイヤーの情報は、ホログラム内に組み込んだナノ構造と読み取り装置の相互作用によって与えられる。実験では、近接場光ファイバープローブによって近接場光レイヤーの情報読み出しに成功した。
東京大学と大日本印刷は、近接場光の性質をより顕著に発現させるためのナノ形状の最適化や近接場光レイヤーの読み出し方式について検討をさらに進めることにより、セキュリティ性や機能性を一層高めた新しい情報物理セキュリティなどに向けてさらなる展開を進めるとしている。

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