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UCバークリーの研究者が世界最小の半導体レーザを開発

September 2, 2009, バークリー--カリフォルニア大学(UC)バークリー校の研究チームは、1個のタンパク質分子よりも小さなスペースで発振する世界最小の半導体レーザを開発した。
 このブレイクスルーは、8月30日付Natureに掲載されている。
 UC バークリーの研究チームは、光を狭い場所に閉じ込めることに成功すると同時に、レーザ発振させることにも成功した。
 「この成功は、従来のレーザ概念の限界を打ち砕き、バイオメディカル、通信、コンピューティング分野のアプリケーションで大きな前進となる」とXiang Zhang氏は語っている。同氏は、バークリーのナノスケール科学/工学センタ長、機械工学教授。同センタは米国国立科学財団の資金で設立され、Xiang Zhang教授は今回の研究チームの代表。
 この世界最小のレーザ実現により、DNA分子をプローブ、操作、評価するようなナノレーザの開発などが可能になる。光通信は現在の技術よりも何倍も高速化される、光コンピューティングでは光が電子回路に取って代わり、速度や処理能力が向上する。
 従来は、レーザ光を含む電磁波は、その波長サイズの半分よりも小さくすることはできないと考えられていたが、世界中の研究チームが光を電子にバインドすることで数十nmまで圧縮し金属表面で振動させる方法見いだした。光と振動する電子とのこの相互作用は、表面プラズモンとして知られている。
 研究者たちは、この微小な光励起を維持し、利用する表面プラズモンレーザの実現を目指して競争してきた。しかし、金属内の抵抗がこの表面プラズモンを発生後直ちに散逸させるため、レーザ発振に必要な電磁界の構築がこれまでの課題になっていた。
 Zhang教授の研究チームは、新しいアプローチで光エネルギーの損失を食い止めた。硫化カドミウムのナノワイヤを、わずか5nmのギャップを空けて銀表面と組み合わせるアプローチだ。この構造で、ギャップ部分、波長の1/20のエリア、つまり1個のタンパク質分子程度のエリアに光を蓄えることができる。光エネルギーの大部分は、この微小な非金属ギャップに閉じ込められているので、大幅に損失が減る。
 この独自の「ハイブリッドデザイン」によって損失コントロールができると、研究チームは次に光の増幅に着手することになる。
 研究チーム助手で、このアプローチの共同執筆者、Rupert Oulton氏は、ナノワイヤの役割を「閉じ込めと増幅の二役」と説明している。光を極微空間にトラップして維持することで光と物質の相互作用そのものが大きく変わる。光の自然放出率の増加は、正しく相互作用が変わったことを示している。この研究では、計測により、5nmのギャップで、光の自然放出率が6倍になったことが明らかになっている。

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