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イリノイ大学の研究者、LED変調速度で世界記録

June 30, 2009, Champaign--イリノイ大学の研究者たちは、発光トランジスタで変調速度4.3GHzを達成し、LEDの変調速度としてはこれまで最高だった1.7GHzを上回った。
 研究者たちは、これにとどまることなく、LEDトランジスタのベースとコレクタを内的に接続して新しいLED形状を作製し、変調速度を7GHzに上げ、再度記録を更新した。
 イリノイ大学電気コンピュータ工学/物理学教授、Nick Holonyak氏は、「設計と構造はシンプルだ。チルトチャージLEDは、高速信号処理、光通信システム、集積オプトエレクトロニクスで魅力的な代替ソリューションとなる」とコメントしている。
 LEDあるいは発光トランジスタ(light-emitting transistor)の変調速度制限要因は、電子とホールの再結合レート。デバイスの速度は、再結合のライフタイムによって決まる。
 通常の「スロー」な再結合過程では、LEDの速度は約1.7GHzが限界。これは、キャリアのライフタイム100psに相当する。研究者たちは40年以上も、「100psの壁を破ることは不可能」と考えていた。
 Holonyak氏の説明によると、「100ps以下の再結合速度達成はLEDでは簡単ではない。と言うのはニュートラルを維持するために同じ数の密度で電子とホールが活性層に注入されるからだ」。
 これらの電荷は動きがとれなくなって再結合を待っている。再結合速度を高くするためには、LEDでは注入レベルを極端に高くし荷電密度を高くすることが必要になる。これらの条件は、トランジスタでは必ずしも必要とされない。
 「ダイオードと違い、トランジスタは電荷をためない」とMilton Feng電気コンピュータ工学教授は言う。「電荷はトランジスタの量子井戸活性層に送られ、そこで直ちに再結合するか、さもなくばデバイスの外に出される。電荷はスタックしたり、再結合を待ったりしない。」
 発光トランジスタの変調速度向上のために、研究者はエミッタサイズを縮小し、いわゆるコレクタの厚さ(第3の終端箇所)を大きくし、特別な内部コレクタ接地設計を利用した。これらの電荷は、低い電流レベル、低熱放散で信号速度が速くなった。
 再結合プロセスが速くなったことにより、発光トランジスタの変調速度は4.3GHzとなった。これは再結合ライフタイム37psに相当するもので、100psの壁を大きく破った。
 「この発光トランジスタでは、コレクタは効果的に電荷をチルト(tilt)させ、再結合ライフタイムが遅い電荷を取り除く」とHolonyak氏は説明する。
 「通常のダイオードで見られる電荷の玉突き状態に対して、トランジスタベースの動的な“tilted”電荷フロー条件がコレクタで維持されており、ベースの再結合プロセスと競っている。もし電荷が再結合せず、十分に速いフォトンを生成しないなら、それはコレクタの電流により押し流されてしまう」(Holonyak氏)。
 ベースに「スロー」な電荷が溜まることを防ぐことによって、研究者たちは「速い」ピコ秒再結合ダイナミックスの基礎を確立。研究者たちは、発光トランジスタを内部配線し、新しいタイプのLEDとした。
 「チルトチャージ(tilted-charge)LEDは、作製が容易で、ローコスト、パッケージも容易、使いやすい」とHolonyak氏は言う。

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