All about Photonics

Home > News > News Details

News Details ニュース詳細

世界最速・最高感度の天体カメラ

June 29, 2009, ミュンヒェン--次世代の地上望遠鏡は、極めて暗い天体を観察するときでも1秒に1500の高精細像をとれる、新しい超高速カメラの開発によって大きく進歩した。
 ESOとフランスの3研究機関の協働で、世界最速の高精細カメラで撮った240×240ピクセル像が初めて得られた。このようなカメラは、ヨーロッパの地上天体フラッグシップ施設、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡ESO VLT(Very Large Telescope)の次世代アダプティブオプティクス機器のキーコンポーネントとなる。
 ESOのアダプティブオプティクス部部長、Norbert Hubin氏は「この画期的なカメラの性能は、世界中どこにも前例がない。宇宙の研究の多くの分野で、このカメラによって大きな飛躍が可能になる」と語っている。OCamは、第2世代VLT SPHEREの一部となる。SPEREは、2011年に設置し、星の周りを周回する太陽系外の巨大惑星の像をとる。
 このような高速カメラは、最大級の地上天体望遠鏡に使用される最新のアダプティブオプティクス機器にとって最重要コンポーネント。地上の望遠鏡は、大気の乱れによる影響を受けるため、星は瞬くように見える。詩人は喜ぶかも知れないが、天体観測者は像の細部が乱れるのでいらだってくる。
 アダプティブオプティクス技術はこの大きな問題点を解消し、宇宙で撮像したのと同等のシャープな像が地上望遠鏡で得られるようにする。アダプティブオプティクスは、高速動作の特殊カメラで得た像をリアルタイムでコンピュータ補正する。現在、この補正速度は秒速数百回。新しい世代の機器では、この補正機能はさらに速くなり、1秒に1000回となっており、これがOCamのレベルだ。
 「アダプティブオプティクスの補正機能はカメラの速度、その感度に強く依存している」とLAOGのPhilippe Feautrier氏は言う。同氏は、このプロジェクト全体のコオーディネータ。「しかし、これは先験的に矛盾した要求だ。一般にカメラが速ければ速いほど、感度は益々悪くなるからだ」。フレームレートが非常に高い映画で使用されるカメラが強力な照明を必要とする理由がここにある。これは、もちろん天体用カメラのオプションではない。
 イギリスのe2v社が開発したOCamとCCD220ディテクタは、最高速と高感度を同時実現しカメラのパフォーマンスを飛躍的に向上させることでこのジレンマを解消した。物理的な電子機器の不完全な動作のために、CCDカメラは、いわゆる読み出し(readout)ノイズの影響を受ける。OCamは、現在VLTで使用されているディテクタと比べると読み出しノイズは1/10となっており、感度は遙かに高く、微細なソースの写真を撮ることができる。
 「この技術のお陰で、ESO VLTの新世代観測系は考えられる限り最高の像を、比類のない鮮明さで撮ることができる」とLaboratoire d’Astrophysique de MarseilleのJean-Luc Gach氏は見ている。同氏は、カメラ構築チームの責任者。
 「ESOが計画している42mのヨーロッパ超大型望遠鏡に必要なアダプティブオプティクスディテクタの開発は、研究パートナーや業界といっしょになって現在進行中である」とHubin氏はコメントしている。
 UKで開発された高感度ディテクタ、フランスで開発された制御システムを使用し、ドイツとスペインの参加を得てOCamは幅広く商用で使える真のヨーロッパ共同の成果となる。

製品一覧へ

TOPへ戻る

Copyright© 2011-2013 e.x.press Co., Ltd. All rights reserved.