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富士通、多チャネル高速送受信回路を開発

February 13, 2009, 東京--富士通研究所とFujitsu Laboratories of America, Inc.は、サーバを複数組み合わせて高性能化するブレードサーバの通信経路として利用されるバックプレーンにおいて、10Gbps伝送を実現する、低消費電力・小型な多チャネル高速送受信回路を開発した。
今回開発した技術により、バックプレーンを4ch×10Gbpsで伝送可能な送受信回路を、従来の技術と比べて、約4分の1の消費電力、約2分の1の実装面積で実現することが可能となる。今後、ますます高密度実装、高速伝送、低消費電力が求められるブレードサーバのバックプレーンへの適用が期待されている。
IT システムにおいて、サーバの設置スペース削減や運用の効率化を目的に、ブレードサーバを複数接続するサーバシステムが活用されている。ブレードサーバの高性能化を実現するために、複数のサーバブレードを相互接続する通信用の回路基板であるバックプレーンで、10Gbpsレベルの高速な伝送と、さらにその伝送を多チャネル化して高速化する技術が開発されている。一方、近年、グリーンITを実現するIT機器の省エネ化、高密度化に関心が高まり、サーバブレードおよび、サーバブレード間の伝送の中継を行なう回路基板(スイッチブレード)に搭載される高速送受信回路に関しても、高性能化のみならず、省電力化、高密度化が求められている。
バックプレーンで10Gbpsの伝送を実現する高速送受信回路では、バックプレーンで発生する伝送損失の補償とともに、クロストークや反射などに起因するノイズの低減が重要。ノイズを増幅せずに伝送損失を補償する従来の高速送受信回路では、十分な伝送損失補償を行なうためにイコライザ回路を多段にしなければならず、消費電力、実装面積、ともに大きなものとなっていた。従って、サーバシステムの高性能化と、省電力化、高密度化を両立する多チャネル高速送受信回路を実現するのは困難だった。
今回、2種類の異なるイコライザ回路の特長を活かした、伝送損失による信号のひずみを最小化する新しい受信イコライザ制御方式を開発し、受信イコライザ回路に搭載。この受信イコライザ回路は、10Gbps伝送の多チャネル化を可能にするとともに、イコライザ回路を多段にする必要がなく、高速化、消費電力の低減、バックプレーン伝送に必要な損失補償能力の達成、ノイズの低減を両立させた。また、開発した新しい受信イコライザ制御方式では、従来の方法で必要であった行列の乗算が不要となり、スカラー加減算で済むため、簡単な論理回路として、小さな面積に実装することが可能となった。
今回開発した技術を用いて、バックプレーンを10Gbpsで伝送可能な4chsの高速送受信回路を、90nm CMOS技術で開発し、バックプレーン経由で10Gpbsの伝送が行なえることを確認した。
今回開発した技術を使わず、従来の技術で実現できる同等性能の高速送受信回路に比べて、今回開発した回路は、送受信回路のうち受信回路部分において、面積を約2分の1、消費電力を約4分の1にすることができる。
今回開発した技術により、送受信回路の規模が多チャネル化を可能とする実装面積となり、4チャネル化により性能を4倍にすることができる。これにより、10Gbpsのバックプレーン伝送を多チャネル化することができ、10Gbpsを超える伝送を実現することができる。
同技術を使った高速送受信回路は、多チャネルの集積化という特長を活かし、高性能スイッチを実現するLSIに搭載することで、今後、高密度実装・高速伝送が要求されるブレードサーバ製品に適用される予定。富士通は、「将来の40GbEへの対応も可能となり、より高性能化、高密度化、低消費電力化が求められるサーバシステムへ本技術を展開していく」としている。
詳細は、米国 サンフランシスコで2月8日から開催されている国際固体素子回路会議ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference)にて発表された。

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