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新しいLED街灯デザインで光害抑制

April 30, 2013, Washington--街灯は夜を明るくし世界中の道路や歩道を照らしているが、都市環境のこの偏在的な要素は極めて非効率であり、夜空を消失させる光害の主因になっている。
最近のLEDの技術革新は街灯のエネルギー効率を改善したが、現状ではLED街灯は意図した範囲を超えて無駄に照らしている。台湾とメキシコの研究チームは、新しい照明システム設計を開発した。この新設計では、高効率のLEDを使用して必要な箇所だけを照射し、周辺の住宅や夜空に不要な光を放出しないようにする。
この新しいLEDシステムの特徴は、多様な街灯ランプレイアウトに適用できる点にある。Optics Expressに発表した論文の共著者、台湾国立中央大学Ching-Cherng Sun氏は、「どんな種類の通りや道路にも適用できるので、高いエネルギー効率を持つ汎用照明となる」とコメントしている。たとえば、大通りや郊外の歩道に並ぶ最近のランプは道の真ん中に張り出して上方から道を照らす。しかし。ランプは通りの片側に設置されていることが多く、あるいは交互に設置場所をジグザグパタンにして設置されていることが多い。交通量の多い道路では、こうしたレイアウトがより効果的であると言えるかも知れない。Sun氏によると、新しいデザインは、高効率を維持しながら多様な照明要求で使用できる柔軟性を提供する。
提案したランプは新しい3部構成のフィクスチャをベースにしている。最初のパートにはLEDクラスタがあり、各LEDに特殊な全反射(TIR)レンズが取り付けられている。光が交差しないで平行になる、いわゆるコリメーションデザインとなっている。これら、レンズで覆われたLEDは反射キャビティ内にマウントされており、ここで光がリサイクルされ、可能な限り多くの光がターゲットを確実に照射するように設計されている。また、光がランプから発せられると、不要な輝きをカットするようにディフューザ、フィルタを通るようになっている。コリメーションとフィルタリングの組み合わせにより、研究チームはビーム形状を制御できる。現在のデザインでは、方形照明パタンが街灯に適していると研究チームは考えている。
研究チームは、ビームがターゲット(光源から10m程度の位置)を照射する際にどの程度発散するかを解析することでデザインのパフォーマンスをテストした。光利用率(OUF)を用いてランプのパフォーマンスを数量化した。OUFとは、ターゲットへの光流量とLEDから直接出る流量との関係を示す数字。高いOUFは、パフォーマンスがよいことを示す。シミュレーションにより、新しいデザインはOUF 51~81%であり、従来の優れた設計で得られる45%を大幅に上回っていることが明らかになった。さらに、提案した街灯は電力消費と輝度の点でも高い期待を満たしている。また、光害も大幅に抑制されている。従来の街灯は、総エネルギーの1/5までが水平に、あるいは空に向かって上方に放射されていたが、このLED街灯のベスト設計では、この数値は1/10になる。さらに新しいモデルでは、ランプの総エネルギーのわずか2%しか光害に寄与しない。
光害と不要な輝きのカットに加えて、新しいモデルは省エネにも貢献する。Sun氏によると、一般LED街灯は40~60%の省エネ。提案設計の効率を高めたものでは、さらに10~50%のエネルギー削減が可能になると言う。また、このモデルは、照明業界で一般に使用されているLEDバルブを含め、わずか4つのパートで構成されているため、製造も容易。
研究チームは、この設計のプロトタイプを3~6ヶ月で仕上げ、来年早々には新しい街灯の実導入を始める予定。
(詳細は、H. Lee et al., Optics Express, Vol. 21, Issue 9, pp. 10612-10621 (2013))

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