All about Photonics

Home > Magazine > Articles

関連イベント

関連雑誌

Articles バックナンバー記事

相互接続回路のレーザ構造化

パスカル・メタイヤー、ジャクロット-ダミアン・ラグランジュ

レーザを利用した電気パターン形成の代替法が提案されている。

 セラミックは、寸法安定性が高いため、回路キャリアとしてマイクロエレクトロニクス分野で多用されている。これらのキャリアは、通常、集積回路(IC)と同じ方法で製造される。つまり、金属化層をセラミックキャリア上に堆積し、次いで、樹指マスクを適用し、目的の電気パターンに従うフォトリソグラフィによってエッチングする。不要な金属領域を化学溶液で溶解し、導電線を残す。この技術の利点は、単位コスト削減に導く高い解像度と複合回路のバッチ処理機能にある。欠点は、主に平面型基板に適した技術であることと、フォトリソグラフィマスクのコストを償却するために大量生産工程が必要になることだ。
 別の電気パターン形成法も存在する。マスクなしでレーザビームを使って直接金属層をエッチングする方法だ。このプロセスは、金属をアブレーション(切除)するため、レーザマイクロ加工またはレーザアブレーションとも呼ばれ、極めて柔軟に利用でき、高速プロトタイピングに最適である。単一のレーザで3次元(3D )キャリアの数面にわたって連続する電気経路を形成でき、マイクロエレクトロニクス部品の3D実装の製造も可能だ。このマイクロ加工応用には、正確さ、速さ、選択エッチングを特徴とする固体レーザが一般に使用されている。
 仏マイクロセルテク社(Micro certec)では、現在、厚さ5μm以下の薄い金属化層のエッチングが可能な、出力60WのNd:YAGレーザを使用している。より厚い層が必要な時は、エッチング後に追加の電気めっきを行う。このレーザは微細パターンの形成を可能にする。図1は、絶縁間隔が100μm程度で、幅が100μmの直線トラックを示している。横方向分解能は数μmである。ここに示された相互接続パターンは表裏のある直径30mmのディスクの周辺である。アブレーション工程は約20分で終了した。
 レーザアブレーションは、基板上にトラックを直接構造化する技術であり、パターンの高速エッチングと制約なしのビーム移動プログラミングを可能にする。唯一必要なツールは部品を支える冶具である。結果として、装置とマスクのコストが削減され、準備期間が短縮され、高速プロトタイピングに適した工程になった。図2 に示されたトラックはプログラミングによって達成された。
 レーザ構造化は、フォトリソグラフィでは処理不可能な領域も容易にエッチングすることができる。図3 に示されたように、レーザアブレーションは、焦点面を変更することで、高さが異なる二つの金属化領域のどちらにも到達可能である。

パターンの連続性

 レーザエッチングは、モノリシックキャリアの隣接面上のパターン連続性を確保するための完璧な技術である。最も典型的な例は段差に沿って走る接続トラックの実現だ。図4 は、二つの水平面間の電気的導通を可能にする垂直面上の導体アレイを示した。図5 に示されているように、円筒の周りの連続軌道もレーザ技術で可能になった。
 レーザアブレーション技術は、エンジニアが化学エッチング技術では製造不可能な設計を開発することさえも助けする。図6 に例示したように、部品のいくつかの面を導線で相互接続して本物のマイクロエレクトロニクスを創製しているセラミックキャリアも製造可能だ。マイクロセルテク社はこの構想を3D相互接続回路または「CI3D」と名づけた。
 レーザエッチングは、エンジニアがエッチングを行う金属や基板材料に関する豊富な知識をもつことを要求する。経験を積めば、基板の損傷や配線のエッジに対する熱影響なしに薄膜層をエッチングできるようになり、相互接続配線を損傷なしで高効率に洗浄することも可能になる。

アプリケーション

 これらの製品は、セラミックの精密研削技術と金属化薄膜層のレーザアブレーションとの組合せによって生まれる。キャリア形状と相互接続回路は顧客自身が定義するため、特注製品になる。主要なアプリケーションは軍事、医学、オプトエレクトロニクスデバイスにおいて見出されるだろう。
 回路キャリアは最終ユーザにとって都合の良い形状であり、センサ、計算機、チップ、LED などのマイクロエレクトロニクス部品上にユーザ自身の相互接続パターンに従って接合できる。こうした製品に対する需要は、同一キャリア上にメカニカルな機能と電気的機能を持たせたいか、小型の電子部品実装を達成したいというニーズによって生まれる。セラミックキャリアは高い電気絶縁性と寸法安定性を提供する。そして、最終的に、各面上の明確で複雑な相互接続パターンのエッチングはプログラミング時間だけを必要とし、マスクコストはゼロだ。
 この構想は、マイクロエレクトロニクス部品を互いに空間的に関係させて配置する必要性に答えたもので、ハイブリッド部品に代わるシンプルなソリューションを提供する。これは1 ヶ月あたり最高数千個の生産量での部品製造にも適している。

図1 レーザエッチングされたアルミナキャリアの詳細図。

図2 アルミナディスク上の螺旋。

図3 2準位上の絶縁領域を含む1片の部品。

図4 3面にわたる金属化の連続性。

図5 アルミナ円筒の周りの螺旋。

図6 CI3D設計。

Micro Processing一覧へ

TOPへ戻る

Copyright© 2011-2013 e.x.press Co., Ltd. All rights reserved.