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音楽を作る

ローリーン・J. ベルビル

レーザ加工のアルミ・ギターがクラシックなロック・サウンドを奏でる。

 ジム・ノルマンディ(Jim Normandy)氏が自身の夢を実現にするための原動力としているのは、生涯に渡るロックンロールへの愛情とクラシックギターに対する深い感謝の思いだ。ティーンエイジャーの頃は、ジミー・ヘンドリックスやジミー・ペイジといったスターのようにステージに立つことを夢見た。
そうした同氏の夢は、最近では多少現実的になり、現在はアルミニウム製のアーチトップ・ギターを作ることに心血を注いでいる。
 ノルマンディ氏は、素描や絵画、彫刻といった芸術にも情熱を傾ける音楽愛好家だ。15年程前に、音楽を作ることから、楽器の製作に転向した。同氏はロックバンドでベースギターを担当し、大規模なコンサートを開催した。さらに1980年代半ばには1 枚のアルバムをリリースした。こうした活動に加えて、同氏はポートランド州立大学で学び、産業心理学の修士号を得ている。
 同氏は溶接工である友人の強力を得て、自身が考え得る完璧な形状と音を実現するアルミニウム・ギターとして、15 本のプロトタイプ品を作成した。音色のクオリティが多岐に渡り、アルミニウムのグレードも異なるため、適正な音調と音を実現するのには時間を要した。
 そのデザインによって、アーチトップ型は楽器の共鳴部分(チャンバ)からスムースに音を伝搬できるという特徴がある。「まるで水が流れるような音波だ」とノルマンディ氏は述べる。「楽器内部の角度が鋭角で、側面に対して90度だった場合、音波は周囲に反響して不明瞭になってしまう。アーチ構造を採ることで、より“丸く”なった音波は楽器の内部全面に伝わり、スムースかつ滑らかにギターブリッジの下にあるサウンドバー全体に行き渡る。これによって、より芳潤な音色を実現できる。さらに審美的な側面として、アーチトップ型はオーガニックで自然な外観と雰囲気を備えている」(ノルマンディ氏)。伝統的なアーチトップ・ギターの上部や胴部(そして時に背面部)はいずれも、固形の木材から切り出されるか、ラミネート加工を用いたヒートプレスによって製造される。上部のアーチ形は、ギターの基本形であるバイオリン系の弦楽器とよく似ている。「われわれがかねてから目標にしているのは、ほかのギターとは違うが、それでいて奇抜過ぎず前衛的過ぎないギターだ。ギターの世界に、新しく現代的な何かをもたらしつつも、クラシックな音を再現する。すなわち、“手頃で最高級”なハイエンドの最高傑作を作ることだ」と同氏は語る。
 ノルマンディ氏の会社である米ノルマンディ・ギターズ社( Normandy Guitars)のギターは、5052 番アルミニウムを材料としている。同社によると、このアルミニウムを使ったギターは、伝統的な木製ボディのギターをはるかに凌駕する品質を得られるとされる。同氏は「一つの音の純度や時間の長さ、旋律は非常にクリーンで正確だ。ほとんどのギター奏者、特にリード・ギターを担当する奏者にとって、このことは重要な要件だ」と語る。
 ノルマンディ社のギターは、製造受託企業である米ゼファー・エンジニアリング社(Zephyr Engineer ing)の協力を得て作られる。ゼファー社はレーザを使った生産セルを活用する。同社が使用するレーザの出力は3000〜4000W幅で、切断加工能力は最大0.750 インチ厚である。同社によると、この生産セルによる切断加工は、軟鋼スチール板およびステンレス・スチール板の加工において、卓越した切断面品質を誇るという。レーザは、自動ロード/アンロード・システムを採用しており、24時間完全自動生産に対応する。
 TRUMPF 3030 3kWレーザを使用し、ゼファー社は4 × 8 フィート長のアルミニウム板から12 個のギター・ボディを切り出す。同社はほかにも複数の機械を稼働させている。例えば、パンチ加工機や成形機、ロボット溶接機、非ロボット溶接機、CNCミリング機、CNCターニング機などである。しかし、カーブ合成に最も適切な方法であるとして、レーザ加工機の利用が決定された。同社の設計エンジニアであるダグ・ジョーンズ氏によると、切断加工はパンチプレスと一緒に完了するという。同氏は、「しかし切断加工には、ミリングなどの仕上げ工程が含まれる。この工程は時間がかかる上、保持固定具の取り付けといった追加作業が必要になる」と語っている。TIG溶接はギターの組立て工程に用いる。ゼファー社では、この組立て工程がギター生産において最も時間を要すると考えている。
 ノルマンディ社の説明によると、初期のメタルギター製造は、固体片のアルミニウムから切り出して行っていた。このため製品はカスタム製造で、製造コストが高く、生産量も限られていたという。同社はギターの量産体制を確立し、一貫性のある容易な生産を実現し、手頃なギターの量産を可能にした。ノルマンディ氏は、「われわれは、他社とは比較にならないほど速く、一瞬でギターのボディを生産できる。そのため、当社のギターの価格は2000〜3000 ドルと、他社に比べてかなり安価である」と言う。
 ノルマンディ社のギターは9 色展開だ。仕上げ方法は、クロム、パウダー塗装、キャンディ・アップル・メタルフレークの3 種類から選べる。クロム仕上げは三重の電気めっき仕上げで、最初にボディを磨く間に加工が施される。まず、亜鉛酸の熱浴で帯電させ、その後、銅液に浸す。さらにニッケルで覆って、華々しいクロム仕上げが完成する。
 同社のギターが持つクラシックなビンテージ感は、ギター奏者に好評を博している。「私が最初に参加したヘビーメタルバンドのある仲間は、現在はBlackN Blueのバンド・メンバーとして、ノルマンディ社のギターを使っている。ある意味、私と彼は今も一緒に音楽を作っているようなものだ」(ノルマンディ氏)。同氏は自分自身について、音楽的な専門性と、夢を実現するというアントレプレナー精神を融合できた幸運な人間だと評している。

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