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歯切り加工を凌ぐレーザスクライビング加工

 最近の携帯電話のスクリーンをよく見ると、独MDIショットアドバンストプロセシング社によって開発、製造、販売されているCO2レーザ装置によって切断加工されているガラスディスプレイに遭遇することがよくある。現在の超薄型携帯電話で求められるガラスディスプレイの厚さは、0.4〜1.0mmの範囲。切断面も正確で、強度が高く、亀裂があってはならない。
 MDIショット社は、2005年、独ショット社と三星ダイアモンド工業の合弁会社として設立され、広範囲なガラス切断装置を提供している企業だ。同社の特長は、“レーザスクライブ/分断”技術を用いて高品質のレーザガラス切断加工を提供できる点にある。事実上、切断粉が発生しないこの加工は、通常クリーンルーム内で行われる。加工されたディスプレイ切断面は、従来のスクライビング加工と比較すると3倍の強度をもつ。そのため、携帯電話機メーカーは、より薄型の最先端製品を作り出すことができる。
 この加工では、ロボットがコーティングされた700 ×900mmのホウケイ酸塩サンドイッチガラスプレートのカセットを精密XYステージにロードする。XYステージは、固定された米シンラッド社の240Wレーザビームの下で毎秒300mmのスピードでガラスを移動させる。ビームはX軸方向(ディスプレイの幅のサイズ)に細い線をスクライビングし、全体が終了すると今度は90°の角度(Y軸方向)に移動しディスプレイの長さを作る。スクライビングが終了すると、加工されたプレートは分断ステーションに移動され、個々のディスプレイに切り離される。バイオメディカル分野で使用されるガラススライドなどと同様に、スクライブ線に沿って起こる破砕を制御するため、ガスバーナーにスクライビング・ビームの後を追わせることも可能だ。
 レーザ装置の柔軟性と信頼性がガラス切断では重要な要素となっている。連日24時間体制で装置を稼動させる携帯電話用ディスプレイ部門では特にそうだ。
 MDIショット社は、単一ガラス層を高い切断面品質でレーザ分断加工するこのユニークな能力に自信を見せている。電子携帯機器のカバー・ガラスなどのように、現在プラスチックが使用されている製品でもガラスが選ばれるようになってきているという背景もある。

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