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中国Tianhe-2スーパーコンピューター、TOP500でNo.1の座を維持

November, 24, 2015--年に2度発表されるTOP500リスト第46版、世界最強スーパーコンピューターによると、中国国防科学技術大学(NUDT)が開発したスーパーコンピューターTianhe-2は、連続6回No.1の座を維持した。
 全般的に、リストの上位の変化は少なく、TOP10の新システムはわずか2つ。クレイ(Cray)が構築したTrinityスーパーコンピューターは、米国エネルギー省(DOE)ロスアラモスとサンディア国立研究所が共同配置したもの。もう1つは、これもクレイが構築したHazel-Henシステムで、ドイツHLRS – Höchstleistungsrechenzentrum (ハイパフォーマンスコンピューティングセンタ)Stuttgartに導入されているもの。
 もっと大局的な見地から言えば、中国は最新リストのシステム数をほぼ3倍にしたが、米国のシステム数は1993年にTOP500リストが作成されて以来、最下点に落ち込んだ。また中国は、多くの中国メーカーがこの分野で活発になっていることから、HPCメーカーとしてシェアを拡大している。
 Tianhe-2(天河)は、リンパックベンチマークで33.86 petaflop/sのパフォーマンスでトップに立っている。No.2の座を維持したのはタイタン(Titan)。これはDOEのオークブリッジ国立研究所に導入されているCray XK7システム。Titan、米国の最上級システムは、リストで最もエネルギー効率が優れているシステムの1つで、リンパックベンチマークで17.59 petaflop/sを達成した。
 最新リストのTOP10で新規エントリーは、No.6のトリニティ(Trinity)とNo.8のHazel-Hen。トリニティはCray XCシステムで、301,056コア、8.1 petaflop/sを達成。トリニティは、ロスアラモス国立研究所とサンディア国立研究所が、エクストリームスケールパートナーシップ・コンピューティングアライアンス(ACES)の下で管理・運用している。Hazel-HenもCray XCシステムでドイツHLRSに導入されており、185,088コア、5.6 petaflop/sを達成。
 10システムのうち6システムは2011、2012年に導入され、Tianhe-2は2013年、トリニティとHazel-HenおよびサウジアラビアのShaheen IIだけは2015年に導入された。上位スーパーコンピューターの低い入替水準は、2008年に始まった減速傾向を反映している。
 2015年7月からのこのリストの大きな変化は、米国におけるシステム数の急減で、現在200システム。7月の231からのこの下降は、1993年にリストがスタートして以来、米国におけるシステム数が最も少ないことを示している。
 ヨーロッパのシェアは、先のリストの141から108に減少し、アジアのシェア数よりも少ない。アジアのシェアは、前回の107から173システムに上昇した。
 アジアでは、中国が前回の37から約3倍、109システムに激増している。日本のシステムは、前回の40からわずかに下がって36システム。
 HPCにおける中国の役割は、製造分野でも高まっている、これはレノボ(Lenovo)がTOP500のシステムベンダーに加わったためである。昨年IBMのx86事業買収後、リストに入っているレノボのシステムは25、前回の3システムから大きく増加。これまでにIBMとしてリストに入っていた一部のシステムは現在、IBM/Lenovo(9システム)、Lenovo/IBM(5システム)とラベル付けされている。中国のベンダー、Sugonは、49システムがリストに入っており、システムカテゴリでIBMを追い抜いた。
 同時に、スーパーコンピューター関連企業Cray Incが復活してきており、導入されたトータルパフォーマンスシェア24.9%(前回は24%)で、最新リストでは明確なパフォーマンスリーダーとして登場している。IBMは、7月の23%から下落して14.9%でNo.2の座を確保。ヒューレット・パッカードは、半年前の14.2%から12.9%でNo.3。中国国防科学技術大学の3システム(Tianhe-2、Tianhe-2 LvLiang、Tianhe-1A)により中国は、リストのトータルパフォーマンスに9.2%の貢献。前回は10.9%だった。