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CTR、宇宙利用に向けてレーザ着火システム開発に取り組む

November, 11, 2015, Carinthia--ベンチテストの成功を受けてCTR ケルンテン技術研究所は宇宙利用のためのレーザ着火システムに取り組んでいる。レーザ着火システムは、現在開発中のアリアン(Ariane)6打ち上げ機で使用される。
 欧州宇宙機関(ESA)は、独仏企業エアバスサフランロンチャーズ(Airbus Safran Launchers GmbH)と共同でケルンテン研究センタCTRに請け負わせてCTRのHiPoLasレーザ着火技術を打ち上げ装置用にさらに開発を進める。
 ドイツ航空宇宙センタ(DLR)テストベンチで行われた先行プロジェクトで、CTRチームは、HiPoLasレーザシステムがロケットエンジン着火に適していることをすでに証明している。新たな研究契約が含んでいる要件は、そのシステムを宇宙に適するようにすること、したがって新しい世代のヨーロッパの打ち上げ機を開発することである。
 CTRプロジェクトマネージャ、Gerhard Kroupa氏は、「その着火システムを極低温燃料用の燃焼室に組み込むことを考えており、後続の宇宙利用で求められる極端に厳しい要求に適合させる」と説明している。このことは、材料、コンポーネントおよびエレクトロニクスを含む完全なシステムが、宇宙飛行のための複雑な技術仕様と高い品質基準を満たすことを意味している。打ち上げ時の極端な機械負荷、燃焼室の超高温と圧力を前提とすると、システムの堅牢さに極めて厳しい要求が課せられていることになる。耐久性だけでなく、従来の着火システムに対してコスト効率の改善も研究チームは目標にしている。
 開発プロジェクトの成果次第で、レーザ着火システムは開発中のアリアン6の打ち上げ機でも検討される。2020年を予定しているアリアン6の初飛行は、ESAによると、継続して「ヨーロッパの宇宙へのアクセス」を確保することになる。
 CTRは、コンパクト、ダイオード励起固体レーザ、着火システムおよびそれの多様な工業アプリケーションへの組み込みに向けて開発している。レーザ光源の小型化、これは調整要素を全く必要とせず、したがって極端な温度と振動に耐えることができるものとなり、いくつかの利点を持つことになる。燃焼室内の着火プラズマの位置に関する高い柔軟度、電気着火システムと比較して非常に高いパルスパワーによって、複雑な混合比や高い燃料速度でも高信頼の着火が可能になる。
(詳細は、www.ctr.at)