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サーバ間光通信を従来の2倍に長距離化する光送信器技術を開発

October, 1, 2015, 東京--富士通研究所は、既存の光ファイバを利用しながら、サーバ間光通信を従来の2倍となる200mに長距離化する技術を開発した。
 サーバの台数を増やして分散処理を行うとシステム全体の処理能力を向上させることができるが、データセンタのフロア拡張などのニーズから、フロア面積を拡大してサーバを配置するためには各サーバを接続する光通信路の長距離化が課題。
 現在、サーバ間光通信で広く使用されている光ファイバでは、ファイバ内で光波形の高速特性が劣化するモード分散が発生し、長距離化の妨げとなっている。富士通研は、このモード分散の現象を低減させるために必要な光送信器の構造を新たに開発し、既存の光ファイバで従来の2倍の伝送距離を確認した。
 これにより、フロア面積換算で、従来比最大4倍のサーバ接続が可能となり、大型データセンタの分散処理能力向上を実現する。
 サーバ間光通信で広く用いられる光ファイバはマルチモードファイバ(MMF)であり、25Gbpsのデータ伝送速度で、最長約100mのサーバ間を接続できる。MMFを使用すると、光ファイバ内で、多数の伝搬モードに分かれて光が伝わる。伝搬モードごとに伝わった光は受信側で結合して出力光信号を形成するが、伝搬モードごとに速度が異なるため、伝送距離に応じた高速特性の劣化が生じる。この現象をモード分散という。このため、長距離化にはモード分散を低減させる必要がある。モード分散を低減させる特殊な光ファイバもあるが、既存のMMFに比べて価格が約1.5倍で、使用するためには敷設されている光ファイバを交換する必要がある。
 富士通研は、レンズから光ファイバまで光を中継して伝える中継光導波路を挿入することで、既存のMMFを用いて、モード分散を低減させる技術を開発した。

開発した技術の特長
1.モード分散解析技術
光導波路や光ファイバでは光を伝搬モードとして扱う。一方、外部から光導波路に光を結合するレンズでは光を光線として扱うため、それぞれ解析方法が異なる。レンズでの光線解析と、中継光導波路やMMFでの伝搬モード解析とを統合し、レンズ、中継光導波路、MMFのそれぞれで、伝搬モードの変化を統合解析する技術を開発した。
この技術を用いて解析した結果、光が通過するコアの幅がMMFの2分の1である25µmの中継導波路を挿入することで、速度の遅い伝搬モードの発生を抑え、モード分散が低減できることがわかった。

2.モード分散を低減する光送信器
  モード分散の解析結果を基に、コア幅25µmの中継光導波路を持つ、光送信器を考案。光送信器を製作した結果、従来のMMFを用いて、伝送速度25Gbpsで従来の2倍となる200mの伝送が確認できた。

 開発技術により光通信の距離が従来の2倍に拡大するため、最大で従来比4倍程度のサーバ接続が可能になる。これにより、大型データセンタにおけるサーバの分散処理能力向上が実現する。
 富士通研究所は、開発技術を実装した光トランシーバーの小型化を進め、 2017年度の実用化を目指している。