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世界最短波長の原子準位レーザを実現

September, 2, 2015, 東京--電気通信大学、理化学研究所、高輝度光科学研究センター、東京大学、大阪大学、京都大学の研究チームは、世界最先端のX線自由電子レーザ施設「SACLA」の技術を利用して、通常の電気配線などに使われるような銅箔が、理想的なX線レーザ光を生成することを世界で初めて見出した。このレーザは、硬X線領域で初めて実現された、世界最短波長の原子準位レーザ。
 レーザの発生方式には、大きく分けて、原子や分子にエネルギー準位差を使う方法(原子・分子準位レーザ)と、真空中の自由電子を使う方法 (自由電子レーザ)の二通りがある。前者の方式は、可視~近赤外域で多く用いられるが、X線を含む短波長領域への応用は困難。 一方、後者は、原理的に波長の制約がなく、最近の技術開発によって、SACLAをはじめとするX線自由電子レーザ(XFEL)が実現し、大きな成果を挙げている。しかし、原子準位レーザは絶対波長の決定や物質との強い共鳴などの光特性をもつため、依然として短波長領域での実現が強く期待されていた。
 X線領域の原子準位レーザを実現するためには、原子を取り巻く電子のうち、最も原子核に近い電子を効率的に取り除く必要がある。研究チームは、X線自由電子レーザ施設「SACLA」の「2段集光光学システム」を使って、この特異な状態をつくり出すことに成功した。さらに、この媒質に、「SACLA」で作った別の弱いX線をほぼ同時に入射することにより、フーリエ限界と呼ばれる理想的な原子準位レーザの発振に成功した。この原子準位レーザのもつ波長1.5オングストローム(Å)は、従来の1/10以下という極めて小さい値であり、世界で初めて硬X線領域の原子準位レーザを実現した。 この過程には、光で原子を制御することが可能な強い誘導放出という現象を使う。これにより、自然界が決める原子内のエネルギーの流れのルールすら変更可能であることを、X線の領域で初めて観測した。
 研究では、小さな材料にX線自由電子レーザを照射するだけで、さまざまな原子からさまざまな波長をもつきれいなX線レーザを発振させる技術を実現した。機能性の高いX線レーザを使った応用研究が進展すると期待される。