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Science/Research 詳細

マイクロメートルサイズのプラズモン光変調器を開発

August, 5, 2015, Zurich--KITとチューリッヒのETHの研究グループは、わずか12.5µm長のプラズモニックMZMを開発した。このデバイスは、電気信号を最大108Gbpsの光信号に変換する。
 KITのManfred Kohlは、「光技術は特にコンピュータチップ間のデータ伝送で大きな可能性を提供する」とコメントしている。同氏がディレクタを務めるEUプロジェクト、チップ間インタコネクト用のナノスケールシリコン-プラズモニックプラットフォームNAVOLCHI(Nano Scale Disruptive Silicon-Plasmonic Platform for Chip-to-Chip Interconnection)は、現在のマッハツェンダ変調器(MZM)の基礎となるプラズモニック変調器(EOコンバータ)を開発した。「コンパクトな光送信器と受信器ユニットは、現在の電気システムの速度限界を凌駕し、データセンタにおけるボトルネック解消に役立つ」。
 現在発表されているのは、12.5µm長のMZMで、これは髪の毛の約1/10の厚さ。これは2つのアームで構成されており、その各々にEO変調器が含まれる。各変調器は、金属-絶縁体-金属導波路で構成されており、ギャップは約80nm幅、EOポリマで満たされている。サイドウォールは金でできており、これは同時に電極として機能する。その電極が電圧を通し、デジタルデータにしたがって変調動作する。EOポリマは、電圧の関数として屈折率を変える。導波路とカプラはシリコンでできており、分けられた光ビームの2つの部分をギャップに、またはギャップからルーティングする。
 各ギャップで、導波路の光ビームが電磁表面波、いわゆる表面プラズモンを生み出す。ポリマに印可された電圧が表面波を変調する。変調は、両方のギャップで異なっているがコヒレントであり、同時に印可される電圧は極性が違っている。表面波は、ギャップを通った後、最初に出力光導波路に変調された光ビームとして入り、次に重ね合わされる。結果的に、光ビームの強度(振幅)にデジタル情報がエンコードされている。
 実験では、MZMは1500-1600nmの広帯域光ネットワークの全スペクトル範囲で高信頼動作している。電気帯域は70GHz、データフローは最大108Gbps。大きな変調深度は、シリコン技術の高い製造精度の成果である。MZMは、広く普及しているマイクロエレクトロニクスCMOSプロセスでも造れる、したがって現在のチップアーキテクチャに簡単に組み込める。
 現在、ドイツでは10%程度の電気が情報通信技術で消費されている、コンピュータやスマートフォンユーザだけでなく、大規模コンピュータセンタのサーバで消費されている。データトラフィックは爆発的に増加しているので、スループットを増やすには新たなアプローチが必要になる、同時に電力消費の抑制も必要とされている。プラズモニックコンポーネントは、この目標に決定的に重要な貢献をする。
 NAVOLCHI EUプロジェクトは、チップ間の光データ伝送用の新しいコンポーネント開発に、金属表面での光と電子の相互作用の利用することで貢献する。同プロジェクトは、EUの7次研究フレームワークプログラム助成金を受けており、予算は340万ユーロ。