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新しい「スマートウインドウ」材料を開発

July, 31, 2015, Austin--テキサス大学オースティン校コックレル工学部(Cockrell School of Engineering)の研究チームは、新段階のエネルギー効率、エンジニアリング材料によりスマートウインドウ供給に向けて一歩前進した。これにより窓は、熱に変換することなく光を通し、逆に熱を伝達しながら光をブロックすることができる。
 室内の居住者が窓を透過するエネルギーや太陽光をさらに精密制御することで、その新しい材料はビルの冷暖房のコストを大幅に下げることができる。
 2013年、化学工業教授、Delia Millironの研究チームは、明確に区別できる光学特性を持つ2つの材料を混合したデュアルバンドエレクトロクロミック材料を初めて開発した。この材料は、可視光と熱を生成する近赤外(NIR)光を選択的に制御できる。2013年の報告では、研究グループは、わずかな電気ショックを用いることでナノクリスタル材料がどのようにスイッチON/OFFでき、光とエネルギーを独立に制御できることを実証した。
 研究チームは、エレクトロクロミック材料で、数年前には可能とは考えられなかった2つの新しい開発、高度に選択的なクールモードとウォームモードを開発した。
 クールモード材料は、太陽からの90%のNIRと80%の可視光をコントロールでき、モード切り替えにわずか数分しかかからないことから、商用製品への大きな前進と言える。以前に報告した材料は切り替えに数時間要した。
 このハイパフォーマンスを達成するために研究チームは、エレクトロクロミック材料の新しいナノ構造アーキテクチャを開発した。これは、クールモードが可視光を透過させながらNIR光をブロックする。これは、夏季のビルや家庭の冷房エネルギーコスト抑制に役立つ。
 実用に向けてエレクトロクロミクスのパフォーマンスを最適化するために、多孔相互浸透ネットワークを造ることを目的に2つの複合材料コンポーネントを組織化した。この組織化により、モード間のスイッチングが大幅に高速化される。
 研究チームは現在、ローコスト製造に適した単純な方法で同様の構造のナノ複合材料を造ろうとしている。
 2番目の論文では、精巧に作られたシングルコンポーネントフィルムの窓でどのように光制御特性を達成できるかという概念実証を報告した。ここでは、可視光がブロックされ、NIR光が透過できる。この新しい環境は、晴れた冬の日、居住者が赤外放射は透過してビルを温めたいが、太陽光のギラつきは抑えたい時に、とても役に立つ。
 American Chemical Societyに発表した論文では、1個のコンポーネント、チタンドープナノクリスタルを含むコーティングが太陽放射の透過ををダイナミックにコントロールできることを実証した。2つの異なる印可電圧で明らかになった2つの異なる荷電機構により、この材料が可視光または赤外照射を選択的にブロックできる。
 Milliron氏は「この2つの成果は、太陽光の高度なダイナミック制御が可能であることを示している。われわれが丹念に造ったナノクリスタルベースの材料が性能を満足たし、スマートウインドウの商用化に向けた前進に必要なコスト目標を満たすものであると考えている」と同氏はコメントしている。