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光の速度でコンピューティングするためにシリコンフォトニクス開発促進

May, 29, 2015, Utah--ユタ大学の研究チームは、現状よりも数100万倍高速の次世代コンピュータやモバイル機器の実現に向けて大きく前進した。
 同大学の研究チームは、光の波を2つの情報チャネルに分けるための超コンパクトなビームスプリッタを開発した。このデバイスにより、電気の代わりに光で計算し、データのやりとりをするシリコンフォトニクスチップの実現に一段と近づいた。
 シリコンフォトニスは、スーパーコンピュータ、データセンターサーバ、特殊コンピュータの性能とスピードを大幅に高めることができる。最終的には、その技術はホームコンピュータやモバイル機器に入り、ゲームからビデオストリーミングまでのアプリケーションを改良する。
 ユタ大学の研究チームは、非常に小さな偏波ビームスプリッタをシリコンチップ上に作製し、これによって誘導入力光を2つに分ける。以前は、そのようなビームスプリッタは100×100µmだった。スプリッタを設計する新しいアルゴリズムにより、Rajesh Menon准教授のチームはそれを2.4×2.4µmに縮小した。
 そのビームスプリッタは、光を様々な方法で方向付けるためにシリコンチップ上に置く多くのパッシブデバイスの1つに過ぎない。それを縮小したことで研究チームは、単一チップ上に数100万のこうしたデバイスを詰め込むことができるようになる。
 潜在的な優位性は、処理速度を凌ぐものである。研究チームの設計は、シリコンチップを作製する既存の製造技術を使用するので、安価に製造できる。また、フォトニックチップは、電子の代わりにフォトンをやりとりするので、この技術を搭載したスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器の消費電力は、既存の機器と比べて少なくなり、バッテリ寿命が延び、発熱も少なくなる。
 シリコンフォトニスを使用する最初のスーパーコンピュータは、すでにインテル、IBMが開発中であるが、これらは一部に電気を残したハイブリッドプロセッサを使用する。Menonの考えでは、ビームスプリッタは約3年でそうしたコンピュータで使用されるようになる。コンピュータ間の高速接続を必要とするデータセンターも、いずれその技術を導入する、と同氏は見ている。