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ゼリーとレーザを使って噴火要因を発見

May, 20, 2015, Liverpool-- リバプール大、モナッシュ大、ニューキャッスル大(オーストラリア)の国際研究チームは、研究成果が、人工衛星や表面観察で計測した火山の不安定性の兆候を解釈する新しい方法につながると考えている。
 リバプール大環境科学学部、Dr Janine Kavanaghは、「噴火の要因を理解することは、予測活動、危険予測、リスク緩和にとって重要である」とコメントしている。
 自然の火山プロセスを研究することは、容易ではない。火山の多くは遠くにあり、直ぐそばで噴火を調べたい研究者に危険が伴い、火山灰や岩によって直接観察が覆い隠されるからだ。
 このような困難を回避するために研究チームは、モナッシュ大の実験室で小型バージョンを再現した。つながった一連の裂け目を通って、マグマが最深部から表面にどのように上昇してくるかをモデル化することで火山の配管構造を研究した。
 研究チームは、タンクにゼラチン(ゼリー)を満たし、それに彩色した水を注入してマグマの上昇を再現した。高速カメラと同期レーザを用いて、マグマの上昇にともなってタンク内で起こっていることを観察した。
 モナッシュ大地球、大気、環境学部Sandy Cruden教授は、「上昇する火成岩層が押し止められて平坦な岩床を形成するとき、これまで分からなかった大きな圧力低下を発見したのはここだった。岩床は、火山の配管システム発展の一環として自然に形成されることが多く、圧力低下は溶存ガスの解放を促進するので、マグマの爆発や噴出の原因となり得る」と説明している。
 同氏によると、これは炭酸飲料を振って蓋を取るのと同じことである。圧力が低下すると泡ができて、量が増加し、ビンから泡が泉のように吹き出す。
 世界中の火山モニタリングシステムは、人工衛星、地盤変動測定機器、地震計で計測した地球表面および表面下の信号の解釈に依存している。これらは、何時、どのように深部でマグマが動くかを記録し、噴火が起こる可能性の判定に役立つ。
 新しい成果は、これまで知られていなかった潜在的な噴火のトリガーメカニズムを追加し、噴火につながるマグマの上昇力学の理解向上に寄与する。