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光を停止させるガラスファイバを作製

April, 20, 2015, Vienna--光は量子通信にとって極めて便利なツールであるが、一つ大きな問題点がある。光は通常、光速で進み、所定の位置にとどめておくことができない。
 ウイーン工科大学(TU Wien)の研究チームは、この問題が解決可能であることを実証した。変わった、異常な量子系ではなく、今日用いられているガラスファイバネットワークにおいてである。
 原子をガラスファイバに結合することで光は180km/hまで減速された。研究チームは、光を完全に停止し、後で再度光を回復することを考えている。この技術は、量子情報を長距離テレポートできる将来のガラスファイバベースの量子インターネットにとって重要な前提条件となる。
 真空では、光速は常に一定であり、約30万km/sec。光がガラスや水のような媒体で送られると、材料と光との相互作用により光はわずかに減速する。TU WienのArno Rauschenbeutel教授は、「われわれの系では、光と物質との非常に強い相互作用を作り出しているので、この効果は極端である。われわれのガラスファイバにおける光の速度はわずか180km/hであり、急行列車が追い越せるスピードである」と説明している。
 TU Wienでは、セシウム原子を極細ガラスファイバに結合。その原子がレーザ光を吸収すると、原子は低エネルギー状態から高エネルギーに移行。吸収フォトンはこれら2つの状態のエネルギー差に一致する。しかし光は、制御された方法で取り出すことはできない。
 研究チームが実験で制御用レーザを追加利用した理由がここにある。これによって高エネルギー状態を第3の原子状態に結合する。「これら3つの量子状態は、フォトンが単に吸収されてランダムに放出されないようにしている。代わりに、フォトンの量子情報は原子集団に制御性よく転送され、そこでしばらく蓄積される」。フォトンは、原子の集団励起に変わる。
 2マイクロ秒(µs)後、これは通常なら光は1/2キロメートル進む時間であるが、制御レーザを使って原子が光をガラスファイバに戻すように誘導した。フォトンの特性は、変わらない。これは量子通信にとって重要である。
 フォトンを蓄積できることは、長距離量子通信に進むための重要な技術的ステップである。「量子物理学によって、われわれは送信者と受信者を結びつけ、盗聴を不可能にする。量子物理学の基本法則では、盗聴すれば必ず検知される」とArno Rauschenbeutel氏は説明している。