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Science/Research 詳細

UCL、光ファイバ通信の伝送距離を2倍にする新技術を開発

March, 6, 2015, London--ユニバーシティ・カレッジロンドン(UCL)の研究チームは、光信号処理の新しい方法を実証した。この方法により、データがエラーフリーで伝送される距離が2倍になる。
 この新しい方法は、伝搬中に信号を電気的に増幅する必要がないことから、長距離光ファイバ通信のコスト削減を可能性にする。この点は、ケーブルが地下に埋められていたり、あるいは海底にあるときには重要である。
 この技術は、データが途中で劣化したり歪んだりすると、それを修正するので、ファイバの利用帯域増にも貢献する。処理はリンク端、レシーバ側で行われ、リンクそのものに新たなコンポーネントを導入する必要はない。このように容量が増えることは重要である、光ファイバは全データの99%を伝送しており、需要はインターネットの利用増と共に増加し、ファイバの現状の容量ではそれに対処できないからである。レシーバの交換は遙かに安くすみ、ケーブルを再布設するよりも容易である。
 この需要増に対処するために、データ信号生成に多様な光周波数を用い、既存のファイバインフラを利用することでより多くの情報を送ることができる。しかし伝送される多数の光信号は相互作用して歪み、受信側でエラーとなる。
 EPSRCに支援されてScientific Reportsに発表した研究では、光ケーブルで伝送される異なる光チャネル間に起こる相互作用をなくすことで、伝送距離を延ばす新しい方法が報告されている。
 UCL電気&電子工学のDr Robert Maherは、「光チャネル間の相互作用をなくすことで、信号がエラーフリーで伝搬する距離に2倍、3190kmから5890kmにすることができる。これは、このシステムアーキテクチャでこれまでに報告された中で最大である。問題は、1個のレシーバで、スーパーチャネルとして知られる光チャネルグループを同時に捉える技術の考案だ。この技術では、データチャネルを仮想デジタル伝送で同時に送り返す(MC-DBP: multi-channel digital back-propagation)ことで歪をなくすことができる」と説明している。
 研究チームは、振幅、位相、周波数を使って大容量光信号を生成する一連の周波数でできたスペクトル成形DP-16QAMスーパーチャネルを用いた。スーパーチャネルは、研究チームが開発した高速スーパーレシーバと新しい信号処理技術を用いて検出した。これらの技術は、エラーなしで全てのチャネルをいっしょに受信することを可能にする。研究チームは、この新しい方法を、デジタルCATV(64QAM)、ケーブルモデム(256QAM)、Ethernet接続(1024QAM)で一般に用いられている、もっと高密度のスーパーチャネルでテストする予定である。