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MIT、光遺伝学を使ってREM睡眠パタンを見る

January, 6, 2015, Cambridge--MITの研究チームは、自然な睡眠パタン実現に一歩近づいた。
 研究チームがNational Academy of Sciencesに発表した論文には、光を直接マウスのニューロンに照射する技術を用いてREM、つまり夢見る睡眠期を起こす方法が記載されている。
 これまでの研究によると、コリン作動性細胞というニューロンが覚醒状態とREM睡眠の両方で活性化することが分かっている。コリン作動性ニューロンがこの領域に関わっている証拠はあるが、この細胞の興奮がREM睡眠への移行に関係しているかどうかを実際に指摘した研究者はいなかった。
 コリン作動性ニューロンがREM睡眠を誘発するかどうかを調べるために研究チームは、光遺伝学という技術を用いた。頭部装着光デバイスを利用して特定のニューロングループに光を照射する。
 ニューロンは先ず、藻で発見されたタンパク質を用いて光感度を高めておく。このタンパク質はある波長の光に反応し、藻が動き回る。スタンフォード大学の研究者は、この藻のタンパク質をほ乳類の細胞に注入。そのタンパク質をあるタイプのニューロンに注入し光を照射して活性化し、さらに脳の興奮を単細胞レベルで制御できることを確認した。 
 MITの研究チームは、コリン作動性ニューロンでこの藻のタンパク質を発現させるために、この技術を適用した。「こうしてマウスを夢見る睡眠状態にすることができた」と論文の筆頭著者、Christa Van Dort氏は語っている。
 この技術は、REM睡眠の制御機構を明らかにするのに役立つ。また、人の自然な睡眠の実現法の理解に向けた前進でもある。不眠症の人が使用する現行の薬はREMとノンREMの深い段階の両方を実際に抑え込み、その代わりにユーザは非常に浅い睡眠状態になる。
 研究チームは現在、REM睡眠生成において重要であると見なされている脳の別の領域にコリン作動系がどのように関係しているかを調べている。