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レーザで1km先の毒ガスを検知

December, 8, 2014, Plainview--テラヘルツセンサは、星間空間の乾いた低圧条件、あるいは実験室の制御された条件で微量ガスの特定に何十年も前から使われてきており、このような条件では超高感度、ppt検出で明確な同定が可能である。しかし同じ技術を通常の大気条件で微量ガス検出に使用することには、これまで成功していなかった。これはスペクトラルフィンガープリントを空気中の水蒸気が乱し弱めるからである。
 オハイオ州立大学物理学、Frank De Lucia氏の研究チームは、この問題を回避する方法を開発した。研究チームのアプローチは、2つのレーザビームで同時に一群のガスを爆破させることによって可能になる。1つは安定したテラヘルツビームで、探しているガス分子の特定回転遷移エネルギーにチューニングしてある。
 2番目のビームは赤外動作のレーザからのもので、高速パルス光を発射する。
 通常の大気圧は、テラヘルツビームの放射によって生成される化学的「バーコード」(フィンガープリント)を不鮮明にするが、より強力な赤外レーザからの超短パルス光が分子を均衡からたたき出し、不鮮明になっていた吸収線を明滅させる。
 赤外パルスレーザは、STI Optronicsが製造したもので、1秒あたり数十パルスを発することができる。
 研究チームは、実験室で2つのビームをフッ化メチル、塩化メチル、臭化メチルガスのサンプルに向けて、多様な天候条件でこれらのガスの量を検出するのに必要なレーザ設定の組合せを調べた。
 研究チームによると、最大1km離れた位置から微量のガスを検出できる。
 とは言え、現在8フィート、1tのレーザをブリーフケースサイズに縮小するには、まだしばらく時間がかかる。
 この技術が有効であることを実証したので、次のステップは別のガスを検出するためにビームの調整をどうするかを考えることである、と言う。
 究極的には、この技術は、覚醒剤の製造所から発生する毒ガスの検出で警察にとっても有用になる。