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グラフェンを使うことで新しいタイプのレーザが可能になる

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November, 28, 2014, Dresden--強磁場下のグラフェンで電子の動力学を理解すると、新しいタイプの広帯域レーザの開発につながる。
 ヘルムホルツセンタ・ドレスデンロッセンドルフ(HZDR)研究所のチームは、ベルリン、フランス、チェコおよび米国の研究者と協働して、研究成果を発表した。
 グラフェンは、破壊強度がスチールよりも高く、伝導性があり、銅よりも効率的に加熱できる。2次元構造が炭素原子の単層だけで構成されているので、グラフェンは柔軟で透明に近く、紙よりも約100万倍薄い。さらに、10年前に発見された直後、磁界におけるエネルギー状態、ランダウ準位(Landau levels)が半導体とは振る舞いが違うことが認められた。「磁界内のグラフェンで、多くの興味深い効果が発見されたが、そのような系では今日まで、電子の動力学は研究されなかった」とHZDRのDr. Stephan Winnerlは説明している。
 HZDRの研究チームは、グラフェンを4テスラの磁界に入れた。これはU字形磁石より40倍強い。その結果、グラフェンの電子が一定のエネルギー状態だけを占めるようになる。負に帯電した粒子が事実上軌道に押し上げられた。これらのエネルギーレベルをHZDRの自由電子レーザ光パルスで調べた。「レーザパルスが電子を一定のランダウレベルに励起する。すると、一時的に遅らせたパルスが、系の展開の様子を調べる」とHZDRのMartin Mittendorff氏は説明している。
 実験の結果、この粒子のエネルギーレベルは、レーザを使って新しい電子を励起したにも関わらず、徐々に空になった。
 そのような動力学に関する実験も理論もなかったので、研究チームは、最初は正しく理解できなかったが、たどり着いた説明はこういうことになる。つまり、電子間の衝突が、このような独特の再配列の原因となる。「この効果は以前からオージェ散乱(Auger scattering)として知られているが、それがそんなにも強くてエネルギー準位が枯渇するほどであるとは誰も考えなかった」とWinnerl氏は説明している。
 この新しい発見は今後、赤外やテラヘルツレンジで任意に波長を調整して発光できるレーザの開発に用いられることになる。「そのようなランダウレベルのレーザは長い間不可能と考えられていたが、ここに来て、グラフェンによって、半導体物理学の夢が実現するものと考えられる」とWinnerl氏は語っている。