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医療イメージング技術でガンを早期発見

October, 28, 2014, Newark--ラトガース大学(Rutgers University)で開発されている新しい医療イメージング法は、医者のガンや他の病気の発見をこれまで以上に早め、治療を促進し、侵襲的で時間のかかる生検の必要性を減らすのに役立つ。
 命を救う可能性のあるこの技術はナノテクノロジーを使って、体内深くで小さなガン性腫瘍や心臓脈管病変を明らかにするもので、同大学の工学と薬学部の研究チームによる初期テストで有望であることが示されている。
 現在、ガンがどこまで広がっているかを医師が指摘できない場合、リンパ節生検を行い、一日待って結果を得てから、必要なら2度目の手術を行う。これには外傷、リスク、コストがともなう。「新技術は最終的には、新たに発見されたガンがリンパ節近くまで広がっているかどうかを正確に特定するために使うことができる。したがって医師は、1回の手術で病気の全範囲手術することができる」とラトガースガン研究所トランスレーショナルサイエンス副所長、Shridar Ganesan氏は説明している。
 材料科学・工学名誉教授、Richard Riman氏と共同開発したラトガースの技術は、今日のイメージングで使われているものと異なるタイプの赤外光を使用する。短波赤外は、現在のイメージング法で使用されている可視光、近赤外光よりも深く皮膚と組織に浸透する。この光が希土類要素のナノ結晶で作った染料を刺激する。
 研究者は以前から短波赤外光の潜在的価値を認めていたが、この光に反応する蛍光染料は毒性が強すぎて安全に使えない、あるいは鮮明な画像を提供できなかった。このプロジェクトの主任研究者、Prabhas Moghe氏の研究チームが開発している染料は、希土類ナノ結晶を人血清アルブミンシェルにエンカプセルする。染料は、良好耐容性であり、身体に迅速に分布され、疾患部位に集中する。
 研究チームは、多様なタイプの希土類要素を使用することができ、これらは短波赤外光でわずかに違った色で光って、多様なガンに感度があるプローブとなる。「このようにして、病気の性質とステージを正確に知ることができる」と同氏はコメントしている。
 研究チームは実験室のマウスで有望な結果を実証しており、極めて小さなスケールで広がったガンでも、MRIや近赤外イメージングなどの従来の技術を使うよりも早期に発見できることを示した。