コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

UC Santa Barbara、アルツハイマー病への「転換点」

May, 22, 2023, Santa Barbara--新しい電気的手法が、多くの神経変性疾患の根底にある脳タンパク質のダイナミクスを始動し、分析する。

研究者は、われわれの脳の正常機能にとって基本的な良性タンパク質をタウタンパク質がどのように毒性神経原繊維タングル、アルツハイマー病や他の神経変性疾患に変えるのか、まだ明確に理解していない。

しかし、UC Santa Barbaraの研究者が開発した新しい手法は、それが起こるプロセスをリアルタイムで制御し、追跡する機能をもたらす。その技術は、タンパク質の折り畳みと組立を始動する自然の信号の代理として低電圧電気を利用する、脳の正常機能と、致命的な疾患につながることがよくある暴走プロセスの両方に利用する。

「この方法は、タンパク質が良性から悪性に移行する際に、タンパク質の動的変化を始動し、同時に観察するための新しい手段を研究者に提供する」とDaniel E. Morseは説明している。同氏は、バイオケミストリ&分子遺伝学名誉教授、Biological Chemistryに発表された論文のシニアオーサーである。

「その方法は、多様であるが、関連がある多くのアミロイド疾患で様々な結合軌跡を指示する分子や条件の特定に広く用いられる」とEloise Masqulierは、指摘している。同氏は、学生、研究者、Esther Taxon, Sheng-Ping Liang, Yahya Al Sabeh, Lior Sepunaruおよび Michael J. Gordonを含む分子生物学、化学および工学の学際的チームの主筆である。

通常の状況下でタオは、ストリングのようなオープンで緩い構成で始まる可溶性タンパク質である。信号に反応してタオタンパク質は、折り畳み、次第に互いに集まり、微小な円筒構造に結合する。それは、ニューロンの形状を支持トし、細胞内に栄養や分子を輸送する。しかし、病理学的には、その信号は行きすぎ、タンパク質の結合を制御できなくし、不可溶性アミロイドフィラメントを形成する。それは、ニューロン内で神経原繊維タングルになり、その機能を遮断し、最終的に、それらを殺す。

タオのコア部分(ペプチド)でその新しい方法を使うことで研究者は、正常な、可逆的折り畳みと組立と、タオパチー(tauopathic)、神経変性疾患の根底にある不可逆的、病理学的組立の間の重要な「ティッピングポイント」(転換点)を観察し分析することができた。過剰リン酸化(病気を促進する信号)を模擬する1V以下の電位を利用して、研究者は、ラボ実験でタオペプチドの折り畳みを始動し、微調整した、これには、アミロイド様のフィラメントを形成する折り畳みと累進的組立の細部を明らかにする分光学的方法を使用した。

タンパク質の折り畳みや組立を調べる他のモード、X線回折、クリオ電子顕微鏡など、プロセスが時間通りに起こる際に、そのプロセスを静的にスナップショットするようなモードと違い、新しい電気化学法によりユーザは、リアルタイムで起こり、進行する動的折り畳みと組立の詳細を連続的に目の当たりにし、分析できるので、これらのプロセスで重要な初期のステップを初めて直接観察できる。タオやそのコアペプチドの研究に以前使われていたほとんどの技術とも違い、つまり電気的トリガーが自然のトリガー信号を密接に模倣するので、その方法は、これらのプロセスの直接観察を可能にするのである。付加的な「ヘルパー」分子は不要である。

著者たちの報告によると、その技術を使って、アルツハイマー病や他のアミロイド疾患の防止、あるいは処置に潜在的に有用な薬剤や抗体のもっと迅速なテストをし、特定することができる。

「われわれは、そのプロセスにスイッチを入れ、意のままに微調整できるので、このシステムを使って、どんな分子が、折り畳み組み立てる特定の段階を予測あるいは阻止できるかを見ることができる」とMorseは説明している。

(詳細は、https://www.news.ucsb.edu)