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SEAS、初のスーパーモード光共振器

March, 23, 2023, Cambridge--SEASの客員教授、Vincent Ginisは、Nature Communicationsに光共振器技術におけるブレイクスルーを発表した。同氏は、論文の筆頭著者。

そのアプローチは、チームの最新の成果になった。これまでに観察されなかったような方法で、光を操作できる光共振である。そのブレイクスルーは、共振器の理解の仕方、新機能への扉の開き方に影響を与えることができる。

「これは、光が前後に跳ね返るにともない、光を一つのパタンから他のパタンへ変える反射器を使い、基本的な方法で共振器の設計を変える進歩である」(Capasso)。

光共振器は、現代の生活の多くの面で重要な役割を担っている。

「共振器は、ほとんどの光学、レーザ、顕微鏡、センシングのアプリケーションで中心的コンポーネントである。これらの技術の全てで、基本的な構成要素として登場する。共振器は、光を前後に跳ね返す2つの反射器で構成されており、例えば、レーザでは光を増幅し、ファイバオプティクスや通信などでは光の周波数をフィルタリングする」とGinisは言う。同氏は、ブリュッセルVrije Universiteit、数学と物理学准教授。

光共振器は、通信伝送、光の周波数による画像やオーディオのエンコーディングのキーである。

「各メッセージは、他からの分離を維持するために、独自の特定周波数でエンコードされる。共振器によりわれわれは、正確な、固有の周波数を‘tape off’(封鎖)し、多くの異なるメッセージが同時転送できるようにする。

これまで、共振器とその内部の2つの反射ミラーは、光の強度と周波数を制御したが、光のモードは制御しなかった。モードは、空間と時間を通して流れるフォトンの形状と振る舞いを決めるものである。

チームは、共振器デバイスの各端の反射器表面に新しいパタンをエッチングすることでこれを達成した。

「集積フォトニクスプラットフォームでわれわれの新しい共振器コンセプトをテストでき、シリコン・オン・インシュレータを選択できることが分かった。シリコン・オン・インシュレータは、多くの研究者や企業が、センシング、通信などのアプリケーションで使っている」と、Cristina Benea-Chelmusは言う。同氏は、Capassoグループの研究助手、EPFL電子&マイクロエンジニアリング研究所の准教授、この研究で実験を主導した。

そのエッチング、サイズ約300-600nmによりチームは、共振器内部で光ビームの形状を制御することができた。いずれかの共振器端の異なるパタンの反射器を使うと、光が動くときに光の形状を変える能力を解放する。

「これらの光モードを相互にプレイさせることができる、一つのモードから他のモードへ、さらに最初のモードに戻す。これにより同じ空間で異なる光モードが動くループが生まれる。これを見ると、‘terra incognita’(未知の土地)にいたことが分かる」(Ginis)。

1モード以上の光を統合すると、研究者が言う「スーパーモード」が生まれる。

「従来の共振器では、光は前後に動くので、モードは常に同じである。光の特性は常に対称的である。われわれの場合、光は左から右へ、あるいは右から左へ動くので、モードは様々である。われわれは、共振器内部で対称性を破る方法を考えた」と同氏は説明している。

「光のマルチモード制御は、光を使って伝送される情報の帯域に大きな影響をもつ。それは、これまで同時にアクセスできなかった多数の伝送チャネルを開く」

Capassoチームの光共振器は、オプトメカニカルを含め、光を使ってものを動かす、基本的な物理学実験を行う新しいツールを提供する、

「共振器の中にものを設置することで、微小な原子、分子、DNAストランドのような物質を操作できる」(Ginis)。新しいデバイス、スーパーモード機能があるので、研究者に、光ビームの多様な形状で微小な物質を操作する新たな自由度を開く。
(詳細は、https://seas.harvard.edu)