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Science/Research 詳細

一つの超短レーザパルスでダイヤモンド量子センサ源を広領域で作製

March, 20, 2023, 京都--京都大学、水落憲和 化学研究所教授、時田茂樹 同教授、藤原正規 同特定研究員、升野振一郎 同研究員、橋田昌樹 東海大学教授らの研究グループは、一つの超短レーザパルスをダイヤモンドに照射し、窒素-空孔(NV)中心をミリメートルレベルの広域で形成することに成功した。

ダイヤモンド中のNV中心を用いた量子センサは、高感度、高空間分解能を有することから注目されている。センサとして用いるNV中心の数を増やすほど感度が上がり、室温で超伝導量子干渉計並みの高感度を実現することが期待されている。これまでフェムト秒レベルの超短パルスレーザを用いてNV中心を作製したという報告はあったが、ダイヤモンドはグラファイト化しやすいため、フルーエンスを抑えて多数のパルスを照射し、且つNV作製領域はマイクロメートル程度が最大だった。今回、最適な条件を見出だし、一つのパルスでミリメートルレベルという従来の100倍以上の広域で形成することに成功した。今回、一つのレーザパルスのみで、高温アニール処理を施すことなく作製できた点は、レーザ光照射によるNV中心の生成機構を解明する点で学術的に重要である。また、応用の観点では、高感度量子センサを作製する簡便、高速な技術として注目される。

研究成果は、2023年3月14日に、国際学術誌「APL Photonics」にオンライン掲載され、更に本論文はFeatured Articleに選ばれた。
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp)