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Science/Research 詳細

TAU、超音波とナノバブル、手術なしでガン性腫瘍を除去

January, 31, 2023, Tel Aviv--テルアビブ大学の新技術は、超音波、ナノバブルを組み合わせて腫瘍を破壊し、侵襲的処置の必要性を除去する。

テルアビブ大学開発された新技術は、血流への超音波とナノバブル注入を組み合わせ、狙いを定めてガン性腫瘍の破壊を可能にする。侵襲的な治療法あるいはマイクロバブルを腫瘍自体に注入するのと違い、この最新技術は、非侵襲的に腫瘍の破壊を可能にする。

この研究は、テルアビブ大学バイオメディカルエンジニアリング、Dr. Tali Ilovitshラボの博士課程学生、Mike Bismuthをリーダーとして行われた。協働したのは、病理学Dr. Dov Hershkovitz。Case Western Reserve UniversityのAgata Exner教授もこの研究に参加した。研究成果は、Nanoscale誌に掲載された。

バブル破裂、腫瘍も破裂させる
Dr. Tali Ilovitshは、「われわれの新技術により、比較的簡素な方法で、血流にナノバブルを注入できる。すると、バブルはガン性腫瘍の周りに集合する。次に低周波超音波を使い、ナノバブルを破裂させる、したがって、それにより腫瘍を破裂させる」と説明している。

研究チームの説明では、ガン治療の一般的な方法は、腫瘍の外科的除去。これは、化学療法や免疫療法など補完的治療と組み合わせる。

ガン性腫瘍を破壊する治療超音波は、手術の非侵襲的代替である。この方法には、利点と不利な点の両方がある。一方で、それは局所的、焦点を絞った治療を可能にする。高強度超音波の利用は、強力な音響エネルギーを高い空間-時間精度で、焦点に強力な音響エネルギーを送達することで熱効果あるいは機械的効果を作り出せる。この方法は、体内深部の固体腫瘍の効果的な処置に利用できる。さらに、腫瘍切除に適さない患者の処置に利用できる。しかし、不利な点は、超音波の熱と高強度が、腫瘍付近の組織に損傷を与える可能性があること。

オフターゲット損傷を減らす
現在の研究で、Dr. Ilovitshとチームは、この問題の克服を探求した。動物モデルを使った実験で、チームは、血流にナノバブルを注入し(マイクロバブルを腫瘍自体に局所注入する今までのやり方と異なる)、低周波超音波を組み合わせて、最小のオフターゲット効果で腫瘍を破壊することができた。

「ナノバブルと低周波超音波の組合せにより、腫瘍領域をより明確に狙える、したがってオフターゲット毒性が減った」とDr. Ilovitshは説明している。

「ナノバブルに低周波を適用することで、低圧でさえも、バブルが極端に膨張し、破裂する。これにより、低圧閾値で腫瘍の機械的破壊が可能になる」。

「われわれの方法は、安全な超音波コスト効果の優位性、臨床的に利用可能である。さらにナノバブルは、超音波イメージングにより観察できるので、腫瘍の標的を容易にする」。

Dr. Ilovitshによると、低周波超音波は浸透深度も強め、歪みや減衰を最小化し、焦点を拡大する。「これは、身体の深部にある腫瘍の治療に役立てられる。また、もっと大きな腫瘍の処置も容易にする。実験は、乳ガン腫瘍ラボモデルで行われたが、治療は他のタイプの腫瘍、将来的には人でも効果的である」とコメントしている。
(詳細は、https://english.tau.ac.il)