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新しい3Dライブホログラム技術、野戦病院で生命を救う

January, 11, 2023, Aueensland--3Dホログラムは、数10年来電話、テレビなどで有望視されているが、大きな関心にもかかわらず、まだ実現されてはいない。アプリケーションは、広範囲に及び、特に医療技術分野では、リアルタイム、動的ホログラムにより手術時間短縮、手術結果改善が見込まれている。

動的3Dホログラムは、MRIスキャンなど現在の2Dイメージングに取って代わる可能性があり、医者はリアルタイムで患者の内部組織の包括的な理解ができ、結果的に侵襲性が少なく、手術台での驚きも少ない。

新しい、小型の光学系が必要とされている。チップに組込可能なもので、消費電力は最小にして、フリースペースでビームをシフト、ビーム形状をコントロールし、可変波面である。

これら3点の各々に応える技術は存在するが、それらを単一のシステムに統合することは、これまでのところ、捉えがたいことが分かっている。

オーストラリア研究評議会センタTMOS(Transformative Meta-Optical Systems)の研究者は、垂直ナノワイヤおよび半導体ナノ構造でできたマイクロリングレーザを統合したメタオプティクスを使ってこの技術を現実に一歩近づけた。

独自の垂直ナノワイヤは、優れた指向性があり、レーザビームを効果的に成形できる。レーザ発振中にその構成が、大きなフォトンリークになるが、ベースミラーのフォトン反射もナノワイヤが基板と接続するところであり、その接続によりナノワイヤは非効率なレーザになる。

他方、マイクロリングレーザでは、マイクロリングレーザのほとんどのフォトンは、基板に並行して進むのでフォトンリークは少なく、極めて高効率のレーザ発振である。しかしビームの方向と形状の制御は信じられないほど難しい。

世界で初めて、TMOS研究者は、InPマイクロリングレーザキャビティと中央に存在する垂直InPナノワイヤアンテナを統合して特殊ビーム形状でフォトンをフリースペースに向けた。3Dホログラムに必要な開発である。システムで光源とアンテナとして機能する、マイクロリングとナノワイヤキャビティは、選択エリアエピタキシャル技術を使って、それぞれ同時に成長される。

デバイスは、5μm以下のサイズであり、最終的に単一のホログラムピクセルを形成する。この結合の効果は、ラボで実証され、詳細はLaser & Photonics Reviewに発表された。

論文の主筆Wei Wen Wongは、「これは、低消費電力、チューナブル放出方向性を備えたオンチップマイクロレーザへの進むべき道である。この新開発は、3Dホログラム実現を阻害する主要な障害の1つを取り除く」と話している。

 「この新しいデバイスは、医療のプロが、遠隔地へ移動する際に、ポケットに入れられるほどに小さく、安価なデバイスに統合される。現場の手術台からフルカラーダイナミックホログラムが投影されるようになる」。

TMOS主席研究者Hoe Tanは、「ダイナミックホログラムの開発は、われわれセンターのフラッグシッププロジェクトの1つである。全参加大学からのチームは、協働してこれを実現している。われわれの研究の次のステップは、波面とビーム形状が個別に、動的にチューニングできるピクセルアレイを作ることである」とコメントしている。

(詳細は、https://tmos.org.au/)