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紙のように薄いソーラセルがあらゆる表面を電源に変える

December, 27, 2022, Cambridge--MIT研究者は、どんな表面にでもにシームレスに取り付けられる超薄、軽量ソーラセルを製造するスケーラブルな製造技術を開発した。

MIT技術者は、超軽量ファブリックソーラセルを開発した。これは、どんな表面でも素早く、簡単に電源に変えることができる。

これらの耐久性があり、柔軟なソーラセルは、人の髪の毛よりも遙かに薄く、強力な軽量ファブリックに貼りつけられ、固定表面に簡単にインストールできる。出先でウエアラブル電源ファブリックとしてエネルギーを供給できる。あるいは、緊急支援にトランスポートし、迅速に遠隔地に導入可能である。重量は、従来のソーラパネル1/100、キログラム当たり18倍発電し、プリンティングプロセスを使い、半導体インクでできている。これは、将来的には大面積製造に拡張可能である。

これらのソーラセルは非常に薄くて軽量であるので、多くの多様な表面に貼りつけられる。例えば、ボートの帆に組込み、航海中にパワーを供給する、災害復旧活動で導入されるテントやタープに貼りつける、ドローンの翼に適用して航続距離を伸ばす。この軽量ソーラ技術は、最小限のニーズで建造環境に簡単に組込できる。

「新しいソーラセル技術を評価するために使われる指標は、一般に、パワー変換効率やドル/Wでのコストに限られる。同様に、組込可能性も重要である、新技術の適用しやすさである。軽量ソーラファブリックは組込可能性を容易にし、現在の研究の推進力になる。われわれは、ソーラ適用性を促進しようとしている」と論文のシニアオーサ、Vladimir Bulovićは,説明している。同氏は、 Emerging Technology のFariborz Maseeh Chair 、Organic and Nanostructured Electronics Laboratory (ONE Lab)のリーダー, MIT.nanoディレクタ。

スリムになったソーラセル
従来のSiソーラセルは脆弱なので、ガラスに覆われた、重くて厚いアルミフレームにパッケージングされている。これは、ソーラセルの導入場所と導入法の制限になっている。

6年前、ONE Labチームは、新興の薄膜材料を使ってソーラセルを作製した。これは、石けんの泡の上に置けるほどに軽量だった。しかし、この超薄ソーラセルは、複雑な真空ベースプロセスで製造された。高価になり、拡大に課題がある。

この研究では、インクベースの材料と拡張性のある製造議技術を使い、、完全にプリント可能な薄膜ソーラセルの開発に乗り出した。

そのソーラセルを作製するために研究チームは、プリント可能エレクトロニクスインクの形式のナノ材料を使用する。MIT.nanoクリーンルームで、チームは、スロットダイコータを使用してソーラセル構造をコーティングする。つまり電子材料の層を準備された、剥離可能なわずか3µm厚の基板に堆積する。スクリーンプリンティング(シルクスクリーンTシャツにデザインを付加する方法と同じ技術)を使用して、電極をその構造上に堆積して、ソーラモジュールが完成する。

研究チームは、今度は、プリントされモジュールをプラスチック基板から剥がすことができる。モジュールは約15µm厚。これにより超薄ソーラデバイスが形成される。

しかし、そのように薄い自立型ソーラモジュールは、取扱に課題があり、簡単に裂ける。すなわち、導入が難しい。この課題を解決するためにMITチームは、そのソーラセルに着けられる軽量、柔軟、高強度基板を探した。チームは、ファブリックを最適解と判断した。ほとんど重量増がなく、機械的弾性と柔軟性があるからである。

理想的な材料は、重量わがす13グラムの複合ファブリック、Dyneemaとして知られる市販品。このファブリックは、線維でできており、地中海の底から沈んだクルーズ船、Costa Concordiaを引き上げるためにそのロープが使われた。わずか数µm厚のUV硬化グルーを着けることで、このファブリックのシートにソーラモジュールを取り付ける。これは、超軽量で機械的にロバストなソーラ構造を形成する。

「ファブリックに直接ソーラセルをプリントすることは簡単に見えるが、これは、考えられるファブリックあるいは他の受け容れ面の選択を制限する。デバイスを作製するために必要な全ての加工ステップに化学的および熱的に適合するものとなるからである。われわれのアプローチは、ソーラセル製造をその最終的な集積から分離する」とSaravanapavananthamは説明している。

従来のソーラセルを凌駕
デバイスをテストしてMITの研究者は、自立型で730W/kg、また高強度Dyneemaファブリックに配置すると約370W/kgを発電できることを確認した。これは、従来のソーラセルよりも約18倍多くのパワー/kgである。

「マサチューセッツでは一般的な屋根のソーラ導入は、約8000W。同程度の電力を生成するには、われわれのファブリックPVは、一軒の屋根に約20kgの付加となる。

研究チームは、デバイスの耐久性もテストした。500回以上、ファブリックソーラパネルを巻いて開いた後、セルは、最初の発電能力の90%以上を維持していることを確認した。

開発されたソーラセルは、従来のセルよりも遙かに軽量で柔軟性が高いが、別のケースに入れて、環境から保護する必要がある。セルを作るカーボンベースの有機材料は、大気中の湿気や酸素と相互作用して変化する。これは、そのパフォーマンスを劣化させる。

「従来のSiソーラセルで標準になっているように、これらのソーラセルを重いガラスで包むことは、現在の進歩の価値を最小化するのでチームは現在、現状の超軽量デバイスの重量をわずかに増やすだけの超薄パッケージングソリューションを開発している」(Mwaura)。

「われわれは、これらの軽量、柔軟なソーラ構造のフォームファクタとパフォーマンスを維持しながら同時に、可能な限り非ソーラ活性材料を取り除こうとしている。例えば、製造プロセスは、剥離可能な基板をプリントすることでさらに合理化できることが分かっている。われわれのデバイスで他のレイヤーを製造するために使うプロセスに匹敵する。これは、この技術の市場投入を加速する」と同氏は話している。

(詳細は、https://news.mit.edu)