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UIC、新しい量子ドット研究、生物学的イメージングへの影響を明らかに

December, 19, 2022, Chicago--イリノイ大学シカゴ(UIC)の新しい研究は、多機能フォトニックナノマテリアルの合成でマイルストーンを達成した。

American Chemical Societyの journal Nano Lettersに発表された論文で、研究チームは、記録破りの発光寿命をもつ半導体「ジャイアント」コアシェル量子ドット合成を報告している。また、その寿命は材料の内部構造の簡単な変更により調整可能である。

Princeton UniversityおよびPennsylvania State Universityを含むグループは、新しい構造特性概念を実証した。これは、放物線ポテンジャルエネルギー面で電荷キャリアの運動エネルギーを調整することで、コア/シェルヘテロ構造内に電子またはホールの空間的局所化機能を与える。

UIC化学者Preston Sneeによると、この電荷キャリア分離は、放射寿命の延長、シングルナノ粒子レベルで連続放射となる。

「これらの特性により、オプティクスの新しいアプリケーションが可能になり、時間ゲート単一粒子イメージングなどの新しいアプリケーションが容易になる、また他の新しい先端材料の開発に進むことができる」とSneeはコメントしている。同氏は、UICの化学准教授、論文の共同シニアオーサ。

Sneeと論文の筆頭著者、UICポスドク研究助手、Marcell Pálmaiは,プリンストンのHaw Yangなどと協力して、光でその量子ドットを励起し、「励起子」状態にした。励起子(エキシトン)は、電子/ホールの電荷ペア、新しい材料では、電子は中央からシェルへ追放され、そこで500ns上方にトラップされる。これは、そのようなナノ材料では記録的である。

「発光材料として、量子ドットは、非常に高い光学特性を持つので、よりエネルギー効率の高いディスプレイ実現に有望であり、バイオケミカル研究向け蛍光プローブとして使用できる。有機染料と比べると、それらは10~100倍吸収性が高く、光退色はほとんどない。この点は、それらがSamsung QLED-TVで使われる理由である」と研究者は、説明している。

研究者によると、これら新しい粒子は、基本的な生物学的発見で有効性が高い。

論文で紹介された量子ドットは赤波長で発光する。これは、散乱を最小化し、一方で長寿命により生体イメージングが少ない背景雑音で行える。シングル粒子レベルでは、新しい量子ドットは連続発光なので研究者はガンに関係するタンパク質にタグづけし、信号を見失うことなく生体ダイナミクスを追跡することができる。この点は、現状、そのような研究ではよくある問題である。

将来の研究では、グループは、その材料がマイクロサイズのレーザなどの光デバイスの優れたコンポーネントになることを実証する計画である。
(詳細は、https://today.uic.edu)