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睡眠中、脳の一部が別の領域に新しいデータを永続記憶に変換する

December, 1, 2022, Philadelphia--神経ネットワークモデルを使いペンシルバニア大学の神経科学者、Anna Schapiroとチームは、身体がREMと徐波の間を動くに連れて、海馬と新皮質が記憶形成のカギとなる仕方で相互作用することを確認した。

記憶形成で睡眠のステージはどんな役割をになっているか。「以前から分かっていることは、睡眠中に有用な学習が起こっているということだ。覚醒中に新しい経験をエンコードし、眠りにつき、起きると記憶が、どういうわけか、変換されている」とペンシルバニア大学神経科学者、Dhairyya Singhは、話している。

睡眠中に新しい経験が正確にどのように処理されるかは、ほぼミステリーのままである。Penn Ph.D学生Dhairyya Singhが構築した神経ネットワークコンピュータモデル、Schapiroを使って、とプリンストン大学のKenneth Normanは、そのプロセスに新たな洞察を加えた。

Proceedings of the National Academy of Sciencesに発表された研究で、研究チームは、一晩に5回程度起こる徐波(slow-wave)とREM睡眠を脳が繰り返すと、海馬が学習したことを新皮質に教え、新しい、束の間の情報を永続記憶に変換する。

「これは、脳の局所回路における単なる学習モデルではない。外部世界からの誘導が全くないとき、睡眠中に脳のある領域が他の脳領域にどのように教え込むかということである。また、われわれの環境の変化にともない時間経過とともにどのようにわれわれが学習するかの提案でもある」とPenn心理学部、准教授、Schapiroは話している。

広く、同氏は、ヒトの学習と記憶を研究している、特に人々が新しい情報をどのように獲得し、固定させるかについて。同氏は、以前から睡眠が、ここで役割を担うと考えていた、チームは、ラボであることをテストしてきた、参加者が眠っている時に脳で何が起こっているかを記録した。

研究チームは、学習と記憶機能を模擬するためにニューラルネットワークモデルを構築している。特にこの研究のためにチームは、海馬と新皮質で構成されるニューラルネットワークモデルを構築した。海馬は新しい記憶のための脳の中心部であり、世界の日々の、エピソード情報学習を任されている。新皮質は、言語、より高度な認識、より永続的な記憶の蓄積に関与している。模擬睡眠中に、研究チームは、その2つの領域でどちらがニューロン発火を刺激するかを観察、記録することができ、さらにその活動パタンを分析することができる。

チームは、脳からヒントを得て構築した学習アルゴリズを使って複数の睡眠シミュレーションを実行した。シミュレーションは、徐波睡眠中、海馬の誘導により、脳が主に最近の出来事やデータを再訪することを明らかにした。REM睡眠中、脳は主に以前に起こったことを再生している、これは新皮質領域の記憶蓄積によってガイドされる。

「2つの脳の領域が、非REM睡眠中に接続するとは、それは海馬が実際に新皮質に教え込んでいるときである。すると、REMフェーズ中に新皮質は、再活動し、すでに知っていることを再生でき」(Schapiro)、長期記憶にデータ保持を固定する。

同氏によると、2つの睡眠段階の交替も重要である。「新皮質が、それ独自の情報を再生する機会がない場合、その情報は、そこで上書きされることが分かっている。われわれの考えでは、強力な記憶形成が起こるには、REMと非REM睡眠の交替が必要である」と同氏は説明している。

研究成果は、その分野で知られていることと一致するが、モデルの特徴は、まだ理論的である。「われわれは、まだこれをテストする必要がある。次のステップの一つは、実験を行い、REM睡眠が本当に古い記憶を育てているかどうか、新しい情報を既存知識に組み込むためにどんな関わりを育てているかどうかを理解することである」(Schapiro)。

現在のシミュレーションは、健康な夜の睡眠を得ている一般的な大人をベースにしているので、それらは他のタイプの成人、または芳しくない睡眠習慣には必ずしも移転できない。また、子どもで何が起こっているかにも洞察ができない、子どもは大人とは違う睡眠量、睡眠タイプだからである。

Schapiroによると、これらの問題の一部に答える同氏のモデルは大きな潜在力がある。「このようなツールを持つことで多くの方向へ進むことができる、特に睡眠構造は寿命で、また様々な疾患で変わるからである。また、われわれは、モデルでこれらの変化を模擬できる」。

最終的には、記憶における睡眠ステージの役割の理解向上が、睡眠不足が兆候となっている精神病的、神経疾患の治療への情報供給に役立つ。Singhによると、ディープラーニングや人工知能への示唆もある。「われわれの生物学的にヒントを得たアルゴリズムが、AIシステムにおけるより強力なオフライン記憶処理への新たな方向を提供することが考えられる」。睡眠と記憶情報とをつなぐこの概念実証研究は、その分野をそのような目標に一歩近づける。

(詳細は、https://penntoday.upenn.edu)