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EPFL、シリコンナノストリングス構築

November, 25, 2022, Lausanne--EPFL研究チームは、電子トランジスタ用に独自に開発された材料により極低温で弾くと数100億回振動するナノスケールギター弦を開発した。

例えば、ギターのチューニングで弦を締め付けると、その振動が速くなる。しかし、弦がナノサイズでは、増強した張力も低下、すなわち「強度が弱まり」、弦の振動モードの損失となる。

この効果は、「消散希薄」として知られており、量子技術のための機械的デバイスの開発で利用されてきた。そこでは、わずか数十原子の層厚で設計され、張力をかけられたナノストリングスは、たった一回弾いただけで100億回以上振動する。ギターとの同等性は、弾いた後、1年程度聞こえるコードである。

Tobias J. Kippenberg教授をリーダーとするEPFL研究チームは、結晶振動について簡単な観察を行った。これは、電子デバイスで広範囲に使用されており、低温では力学的エネルギーの損失が極めて少ないことが分かっている。研究チームは、それを証明した。ナノスケール厚の結晶材料が高張力で伸ばされ、その原子配列を維持すると、それは長寿命音響振動ストリングス作製の格好の候補となる。研究成果は、Nature Physicsに発表された。

「われわれは歪シリコン膜を選択した、それがエレクトロニクス産業で確立された技術だからである。それらは、トランジスタの性能改善に使われている」と、論文の筆者の一人、Dr Nils Engelsenは、話している。「したがって、歪シリコン膜は10nm程度の極薄で商用入手可能である」。

大きな課題は、そのナノストリングスが極端なアスペクト比となることである。この論文では、ナノメカニカルデバイスは、12nm厚、最大6㎜長である。そのようなナノストリングが直立して立てられると、基盤径はBurj Khalifaタワーと同等で、その先端は、GPS衛星が地球を回るMedium Earth Orbitを超えることになる。

「これらの構造は、脆弱であり、そのマ微細加工最終段で微小な摂動の影響を受けやすい」とKippenbergラボのPh.D学生、Alberto Beccariは言う。同氏は、論文の筆頭著者。「われわれは、壊滅的崩壊なしでそれらを吊すことができるように製造手順を完全に改良しなければならなかった」。

歪シリコンナノストリングは、量子力学的実験では特に興味深い。そこでは、その低消散率が、環境外乱からの優れた分離になり、高純度量子状態の実現が可能になる。

「基礎物理学における長年の探求は、量子力学的挙動を示す物体のサイズと質量スケールの研究と拡張である。これは、熱くて雑音の多い環境力からの増え続けるランダムな‘キック’と変動により、ニュートン力学の法則に従う挙動を強いられる前のことである。量子力学効果は、絶対零度付近で、すでに同じサイズと質量の機械的共振器により観察されている。

「加えて、これらのナノストリングスは、あらゆる種類の相互作用に従うので、精密力センサとして使える。例えば、光ビームの微小放射圧、ダークマター粒子との弱い相互作用、亜原子粒子による磁場の影響を受ける」。

全てのサンプルは、EPFL、Center of MicroNanoTechnology (CMi)で作製された。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)