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Caltech、新しいフォトニックチップ、光からの「スクイーズ」改善

October, 26, 2022, Pasadena--CaltechのAlireza Marandiによると、量子物理学の将来は、フォトニクス、つまりエレクトロニクスに匹敵する光ベースとなる。フォトニクスは、理論的に、エレクトロニクスと類似だが、電子をフォトンで置き換える。またフォトニックデバイスは、エレクトロニクスデバイスよりも遙かに高速にデータを処理できる。量子コンピュータも含まれる

その分野は、基礎研究がまだ非常に活発であり、実用になる重要なデバイスが欠如している。Caltechで開発された新しいフォトニックチップは、その分野で重要なブレイクスルーを代表するかもしれない、特にフォトニック量子情報プロセッサを可能にする分野である。それは、以前には大きくて高価なラボ装置でしかできない方法で、光の量子状態を生成、計測する。

チップは、リチウムナイオベート(LN)ベース、つまり塩。その結晶は、オプティクスで多くのアプリケーションがある。それは、チップの片側で光のスクイーズ状態を生成し、チップの反対側で、それらを計測する。光のスクイーズ状態とは、簡単に言うと、量子レベルで「ノイズ」が少なくなっている光。光のスクイーズ状態は、最近では、LIGOの感度向上に利用された。レーザビームを使って重力波を検出する天文学である。光ベースの量子デバイスでデータを処理しようとすると、その同じノイズの少ない光状態が重要になる。

Alireza Marandiは、「われわれが達成した量子状態の品質は、量子情報処理の要求を上回る。これは、大きな実験セットアップの領域にあったものだ。われわれの研究は、集積フォトニック回路で光の量子状態の生成、計測では重要な一歩である」とコメントしている。

その技術は、Marandiによると、THzクロックレートで走る、最終的な量子光プロセッサ開発への道を示している。比較すると、それはMacBook Proの電子プロセッサよりも数千倍高速である。

Marandiは、「この技術が、次の5年で、通信、センシング、量子コンピューティングに実用的な用途を見つけることは可能である」と言う。

「オプティクスは、量子コンピュータ実現の有望なルートである。室温で、拡張性や超高速論理動作における複数の本質的な利点が理由である。しかし、拡張性で主要な課題の一つは、フォトニクスで十分な品質を持つ量子状態の生成と計測であった。われわれの研究は、この課題に対処している」とポスドク研究者、論文の主筆の1人、Rajveer Nehraは、話している。
 論文「ナノフォトニクスにおける数サイクルの真空スクイージング」はScienceに発表された
(詳細は、https://www.caltech.edu/)