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エレメントシックス、超高速パルスディスクレーザ開発に参加

September, 22, 2014, Santa Clara--ルクセンブルクのエレメントシックス社(Element Six)は、超高速パルスディスクレーザ開発支援で、欧州委員会(EC)の第6次研究・技術開発フレームワークプログラムによって選定された。
新しいレーザは、透明材料のマイクロマシニングにおける生産性と精度向上に向けて高い平均出力で設計されることになっている。この3年プロジェクト「超高速高平均出力Ti:Sapphire薄型ディスク発振器と増幅器」(Ti:Sa:TD)の一環として同社は、Ti:Sa薄型ディスクから迅速に熱を除去するために、低損失、高純度単結晶化学蒸着(CVD)ダイヤモンド材料の開発を進める。これはレーザ利得材料として使用される。この開発には、エレメントシックスの顧客が利用できる領域を拡大することも含まれている。
現在、最も強力な産業用「超高速」レーザはピコ秒領域で動作するものであり、金属のマイクロマシニングには十分なパフォーマンスとなっている。しかし、コンソーシアムの狙いは新しいフェムト秒レーザシステムの開発にある。これにより、これまで以上にハイパワーで超高精度加工が可能になる。目的は、ガラスやセラミックなど、スマートフォン、タブレットに一般に使用されている透明材料マイクロマシニングの生産性向上。特に、このプロジェクトの共同研究者は2つの高平均出力超高速Ti:Sa薄型ディスクレーザシステムの設計に取り組んでいる。1つは高エネルギーパルスを得るためにチャープトパルスを使った増幅器システム、もう1つは高繰り返しレートを達せするための高出力発振器。両方とも優に100fs以下のパルス幅で、最大平均出力を少なくとも200Wの平均出力を持つ。
これらの目標を達成するために、Ti:Saをレーザ結晶材料として使用する。Ti:Saは、広い発光帯域幅により短パルスレーザシステムに適しているが熱特性に問題がある。この課題を克服するためにはエレメントシックスは熱拡散板としてTi:Saにマウントするための単結晶CVDダイヤモンドの開発を進めている、これにより熱-光学効果が改善され、所要のハイパワーで励起できるようになる。
同社のCVDダイヤモンドはすでに熱伝導性2200W/mK、低複屈折と吸収率であったが、このレーザシステムアプリケーションが成功するには、CVDダイヤモンドの吸収計数を一段と下げ、使える領域をさらに増やす必要がある。「今日まで、当社のCVDダイヤモンド材料は商用固体レーザCISTD幅広く活用されて、比類のないレベルの熱除去を示すことに成功している。これにより、レーザシステムはビーム品質を改善しながら、より高い出力で動作することができる」とエレメントシックス技術グループディレクターアドリアン・ウィルソン氏(Adrian Wilson)は説明している。さらに同氏は、「Ti:Sa薄型ディスク向けでは、当社の現行の結晶CVDダイヤモンドの一層の改善が求められている」とコメントしている。
同社は先頃、ECの第7次研究・技術開発フレームワークプログラムから310万ユーロの助成金を獲得した。