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DARPA、シリコンベースのマイクロチップ上に直接レーザ作製計画

September, 18, 2014, Arlington--DARPAの電子-光ヘテロ集積(E-PHI)プログラムは、数十億の発光ドットをシリコン上に集積することに成功し、効率的なシリコンベースレーザを作製した。
 このブレイクスルーは、同プログラムに取り組んでいるカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究チームによる成果。これにより、現在の技術の性能を凌駕する安価でロバストなマイクロシステムの製造が可能になる。
 レーダ、通信、イメージング、センシングペイロードなどの防衛システムは、様々なマイクロシステムデバイスに依存している。これらの多様なデバイスは一般に、個々のアプリケーションに特化した特定基板材料や多様な処理技術を必要としており、そうしたデバイスを単一の製造工程に統合することができない。これらの技術の統合は歴史的に、個別のマイクロチップの組合せであり、シングルチップに集積したマイクロシステムズと比べて、帯域や遅延の制限は大きい。
 DARPAは、2011年にE-PHIプログラムをスタートさせた。目標は、単一のシリコン上に、チップスケールフォトニックマイクロシステムズと高速エレクトロニクスを直接統合すること。多くのフォトニックコンポーネントは現在、直接シリコン上に作製されているが、効率的なレーザ光源を実現することは極めて難しいことが明らかになっている。レーザ(利得材料)をチップに搭載する従来のアプローチは、高価なウエファ上にレーザを別に作製し、次にシリコンチップ上にレーザをボンディングしなければならない。従来のボンディング工程は、非常に高い精度と時間を必要とし、これが製造コスト上昇を招いている。
 UCSBがApplied Physics Lettersに発表した論文では、InAs材料を直接シリコンウエファ上に成長させて、「量子ドット」として知られる発光ドットを数十億個形成することが可能であることを示している。共通のシリコン基板に電子とフォトニック回路を集積するこの方法は、ウエファボンディングを不要とするものであり、これはサイズ、重量、パワー、パッケージング/アセンブリコストを重視する多くの軍事および民生エレクトロニクスに応用できる。
 DARPAのE-PHIプログラムマネージャ、Josh Conway氏は、「シリコン上に簡単に集積できるのはレーザだけではなく、他のコンポーネントも同様だ。これは、現在達成されているよりも遙かに高機能の先進的フォトニック集積回路へ道を開くものである」とコメントしている。
 UCSBチームは、発光だけでなく、「格子不整合」も克服した。UCSBチームは、シリコン上に成長したレーザが、ネイティブ基板に成長したレーザに匹敵するパフォーマンスであることも実証した。これらの成果は、光アンプ、変調器、ディテクタなどの他のフォトニックコンポーネントの開発に向けた基盤となる。