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Science/Research 詳細

量子ドットベースのスマートライティングシステム、昼光を正確に再現

August, 12, 2022, Cambridge--ケンブリッジ大学の研究者は、量子ドットからスマートな色制御可能白色光デバイスを設計した。これらは、標準LEDsよりも効率的で彩度が優れており、単一光で昼光条件を動的に再現できる。

ケンブリッジ大学の研究チームは、ナノテクノロジー、色彩科学、先端コンピュータ法、エレクトロニクス、独自の製造プロセスを利用して、次世代スマート照明システムを設計した。

チームは、一般的なLEDsで使われる光の三原色以上を使うことで、より正確に昼光を再現できることを確認した。新設計の早期テストは、優れた演色性、現在のスマート照明技術よりも広い動作範囲、白色光のより広いスペクトルカスタマイズを示した。成果は、Nature Communicationsに報告されている。

周辺光の可用性と特性が健康に結びついているので、スマート照明システムの幅広い可用性が、人の健康にプラスの影響を及ぼす可能性がある。これらのシステムが個々人の気分に反応することがあり得るからである。スマートライティングは、概日リズムにも反応する、これは日常の睡眠覚醒サイクルを調整する。光が午前中は赤みがかった白色、日中は青みがかった白色である。

部屋の十分な自然光、人工光、良好なグレア制御、屋外の景色が利用できるとき、視覚的快適性レベルは優れていると言われている。人工光の下での屋内では、視覚的快適性は、色がいかに正確にレンダリングされているかにかかっている。モノの色は、照明によって決まるので、スマート白色照明は、周辺物体の色を正確に表現することができなければならない。現在の技術は、光の3つの異なる色を同時に利用することでこれを達成している。

量子ドット(QD)は、高い色可調性と色純度により、1990年代から研究され、開発されている。その独自のオプトエレクトロニック特性により、QDsは、幅広い色制御性と高い演色能力の両方で優れた色パフォーマンスを示している。

ケンブリッジの研究者は、量子ドット発光ダイオード(QD-LED)ベース次世代スマート白色照明のアーキテクチャを開発した。研究チームは、システムレベル色最適化、デバイスレベルオプトエレクトロニックシミュレーションと材料レベルパラメタ抽出を統合した。
チームは、電荷輸送と発光モデリングの新しい方法と共に、マシンラーニングのニューラルネットワークで使用される色最適化アルゴリズムからコンピュータデザインフレームワークを作り出した。

QD-LEDシステムは、一般的なRGB以上、多原色を利用してより正確に白色光を真似る。特殊サイズ、径3~30nm間のQDsを選択することで研究チームは、LEDsの実際的な制限を克服し、チームの予測をテストするのに必要な発光波長を達成することができた。

チームは、次に、QD-LEDベース白色照明の新しいデバイスアーキテクチャを作ることで、そのデザインを検証した。テストは、現在の技術よりも優れた演色性、広い動作範囲を示した。また、広いスペクトルの白色色合いカスタマイズも示した。

ケンブリッジが開発したQD-LEDシステムは、223K(赤み)~9207K(明るい真昼の太陽)範囲の相関色温度(CCT)を示した。現在のLEDベーススマート光は、2200K~ 6500KのCCTである。QD-LEDシステムの演色評価数(CRI)、昼光(CRI=100)で照射された色の尺度は、97だった。現在のスマートバルブの範囲は、80~97である。

その設計は、より効率的、正確なスマート照明に道を開く。LEDスマート電球では、所望の色を達成するには、3つのLEDsが、個別に制御されなければならない。QD-LEDシステムでは、全ての量子ドットが、単一の共通電圧で駆動され、全色温度範囲を達成する。

「これは世界初である。完全最適化、ハイパフォーマンス量子ドットベーススマート白色照明システムだ」とケンブリッジ工学部、Jong Min Kim教授、研究の共同リーダーは、コメントしている。「これは、日常のアプリケーションに量子ドットベース白色照明の完全な活用への初のマイルストーンである」と同氏は、話している。

共同研究リーダー、Gehan Amaratunga教授は、「単一の光で多様な色スペクトルにより、昼光をよりよくダイナミックに再現できることは、われわれの目標である。われわれは、量子ドットを利用して新しい方法でそれを達成した。この研究は、幅広い範囲の新しい、人間に反応する照明環境への道を開く」と話している。

ケンブリッジチームが開発したQD-LED白色照明の構造は、広いエリアの照明外見に拡張可能である。それがプリンティングプロセスで作られ、その制御と駆動は、ディスプレイのものと同じだからである。個々の制御を必要とする標準的な点光源LEDsでは、これはもっと複雑なタスクになる。

(詳細は、https://www.cam.ac.uk)