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光を原動力とするナノモーター、超微小エネルギー変換器

July, 27, 2022, Austin--モーターは、自動車から洗濯機まで、われわれの日常生活の至る所に存在する。未来に関わる科学分野は、微小モーターに取り組んでおり、これはナノマシーンネットワークに動力を供給し、今日われわれが使うデバイスの動力源の一部を置き換えることができる。

ACS Nanoに発表された研究で、テキサス大学オースチンのCockrell工学部のチームは、初の固体光ナノモーター作製を報告している。これらの光駆動モーターの以前の全バージョンは、ある種の溶液の中にある。それが、ほとんどの実世界のアプリケーションの可能性を制約していた。

Walker機械工学部、Yuebing Zhengは、「生命は水中で始まれ、結局、陸に移動した。われわれは、常に液体中に生きていたこれらのナノモーターを陸で、固体状態で動作するようにした」と説明ている。

研究チームは、これらのモーターが様々なモノに動力を供給すると考えている。スピン運動は、ホコリや他の粒子を拾い上げ、空気品質計測にそれを役立てる。また、ヒトの体内では、薬剤デリバリデバイスを推進できる。さらに監視や計測用の微小ドローンに、他のミニ伝達手段に動力を供給する。

その新しいモーターは、幅100nm以下であり、光照射により固体基板上で回転可能である。また、様々な固体マイクロ/ナノ電気機械システム向けに、燃料不要、ギア不要のエンジンとして機能し、光を機械的エネルギーに変換する。

これらのナノモータを水中から出して地上に持ち出すと、これらのデバイスの推進を制限する最大の障害の1つである、いわゆるブラウン運動を回避する。水分子が、これらの小さなモーターからスピンを押しのけるときに、それが起こる。モーターが小さければ小さいほど、この動作はますます強くなる。諸要素から溶液を除去することは、この問題を完全に回避することになる。

ナノモーターは、微小動力源の大きな、伸び続ける分野の一部である。それらは、小さい方では分子マシーン、大きい方ではマイクロエンジンの間、スケールの中間として役割を果たす。

大いなる好奇心の分野であるが、この時点では研究者は、まだ、これらの微小モーターを効率を高めることによって、より実行可能するための基礎科学を解明しようとしている。

研究チームが、これらの微小モーター作製に強く惹かれた理由は、それらが最も重要な生物学的構造の一部を模擬するからである。自然では、これらのモーターは細胞分裂を促進し、細胞の運動を助ける。結合して、生命体の運動を助ける。

「ナノモーターは、われわれがナノ世界を精密制御し、実世界でわれわれが望んでいる新しいものを造る際に役立つ」とZhengグルーブ、研究の主筆、Jingang Liはコメントしている。

これらのモーターを溶液から取り出してチップに搭載することで、それらは場合によってはバッテリの置き替えとなる。つまり光だけを使って、機械運動とパワーデバイスを生み出す。

このブレイクスルーは、新しい設計から来ている。基板上の相変化材料の薄い層である。その薄膜は、光を受けると固体から擬似液相に局所的、可逆的に変化できる。この相変化は、ナノモーターの摩擦力を減らし、回転を促進する。

これは、ナノ粒子を使ったモーターの研究チーム初のデモンストレーションである。今後、研究チームは、その発明の改善を続け、それらをより安定的、制御可能にすることで、パフォーマンス強化に取組む。これは、光を機械的エネルギーにより高率に変換することにつながる。
(詳細は、https://cockrell.utexas.edu)