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有機半導体で光注入粒子が距離を延ばす

May, 17, 2022, Ithaca, New York--ポラリトンは、2つの非常に異なる世界のベストを提供する。これらハイブリッド粒子は、光と有機材料の分子を統合し、それらを有機半導体でエネルギー移転のための理想的な手段にする。それらは、フォトニック起源であるので、現在のエレクトロニクスに適合するが、動きは速い。

しかし、制御が難しく、その挙動の多くはミステリーである。

コーネル大学(Cornell University)、Andrew Musserをリーダーとするプロジェクトは、このエネルギーフローのスピードを調整する方法を発見した。この「スロットル」は、ほぼ静止状態から光速に近づくところまでポラリトンを動かすことができる。また、その範囲を拡大する。最終的に、より効率的なソーラセル、センサ、LEDsにつながるアプローチである。

チームの論文「有機エキシトン-ポラリトン、暗状態非局在コヒレント伝播を調整」は、Advanced Scienceに発表された。主筆は、ケンブリッジ大学、Raj Pandya。

過去数年、シェフィールド大学のMusserと同僚は、微小なミラーのサンドイッチ構造、いわゆるマイクロキャビティでポラリトンを作る方法を研究してきた。これは光をトラップし、エキシトンと相互作用させる。エキシトンとは、束縛電子-ホールペアでできた動くエネルギーの束。

研究チームは、マイクロキャビティが、光を放出しない「暗状態」から有機半導体を救出する方法を示した、これは改善された有機LEDsを示唆している。

新しいプロジェクトでチームは、一連のレーザパルスを利用して、マイクロキャビティ構造内をエネルギーがどう動くかをリアルタイムで計測した。レーザパルスは、超高速ビデオカメラのように機能した。しかし、チームは、固有のスピードバンプに突き当たった。ポラリトンは、非常に複雑で、その計測の解釈でさえ骨の折れるプロセスになる。

「われわれが見いだしものは、全く予想外だった。われわれは、データに依拠して、それが一体何を意味するかをを優に2年、考え続けた」(Musser)。

最終的に研究チームは、マイクロ共振器にもっと多くのミラーを組込み、反射性を増すことで、実際にポラリトンをターボチャージできることに気づいた。

「これらの粒子の動く速度を変える方法は、基本的に文献では、まだ前例がない。しかし今では、材料をこれらの構造に入れることで状態を著しく速く、遠くに進めるだけでなく、それらの速さを実際に制御するレバーを獲得している。これによりわれわれは、それらをどのように改善するかの非常に明確なロードマップを手にしている」と同氏は説明している。

一般的な有機材料では、素励起は、10nm/nsのオーダーである。Musserによると、世界チャンピオンのスプリンタ、Usain Boltのスピードにほぼ匹敵する。

それは、人間には速いが、実際、ナノスケールでは、非常に遅いプロセスである。

対照的に、マイクロキャビティアプローチは、ポラリトンを数十万倍高速に、光の速度の1%の速度で発射する。トランスポートが、ナノ秒以下ではなく、短命であるなら、つまりピコ秒なら、ポラリトンは50倍遠くまで移動する。

「絶対的なスピードは必ずしも重要ではない。より有用なのは距離である。したがって、デバイスを微小化して。それらが数百ナノメートル移動できるなら、例えば数十ナノメートル離れた端子があると、AからBへ損失ゼロで行くことになる。実に、それだけのことだ」(Musser)。

これにより物理学者、化学者、材料科学者は、新しい、効率的なデバイス構造、加熱で阻止されないような次世代エレクトロニクスを実現するという目標にさらに近づくことができる。

「電子ではなくエキシトンを使う多くの技術は、極低温でのみ動作する。しかし有機半導体では、室温で多くの興味深い、素晴らしい機能を達成し始めることが可能である。したがって同じ現象を新しい種類のレーザ、量子シミュレーション、コンピュータにさえ注入できる。理解が進めば、これらポラリトン粒子には多くのアプリケーションがある」とMusserは話している。

(詳細は、https://news.cornell.edu/)