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多様性「ナノクリスタルジェル」、エネルギー、防衛、通信の進歩に寄与

March, 23, 2022, Austin--テキサス大学(UT)オースチンの研究チームが新しいタイプの「ナノクリスタルジェル」を作製したことで、エネルギー、防衛および通信における新しいアプリケーションが後押しを受けている。
 ナノクリスタルジェルは、それぞれが人の髪の毛の幅より10000倍小さな微小ナノ結晶で構成されたジェルであり、結合して組織化されたネットワークになる。

チームの発見の最重要点は、この新しい材料が簡単に調整できることである。すなわち、それは温度を変えることで2つの異なる状態間でスイッチできる。これは、その材料が光学フィルタとして機能することを意味する。それがゲル化された状態にあるかどうかにより、光の様々な周波数を吸収する。したがって、それは、例えば、ビルの外で、動的ヒーティングまたは冷却を制御するように使える。このタイプの光学フィルタは、防衛、特にサーマルカモフラージュにアプリケーションがある。

ジェルは、これら幅広いアプリケーション向けにカスタマイズ可能である。ナノクリスタルと分子リンカーの両方を結合してジェルをネットワークにしており、それらは設計的構成要素である。ナノクリスタルは、化学的に調整して、光ファイバネットワークで通信のルーティングに役立つ、また遠隔惑星体の宇宙船の温度を一定に保つためにも使える。リンカーは、環境温度または環境の毒物検出に基づいてジェルをスイッチさせるために設計できる。

Cockrell工学、McKetta化学工学部チェア、教授、Delia Millironは、「その表面の赤外特性を変えることで物体の見かけのヒートシグネチャをシフトさせなければならない。それは、通信にも役立つ。通信は全て、赤外波長を利用するからである」とコメントしている。

その新研究は、Science Advances誌に発表されている。

ラボ実験によりチームは、その材料がジェルと非ジェル(即ち、液体中に懸濁されたフリーフォーマットナノクリスタル)間で変化することを見ることができた。これは、特定の温度変化により引き起こされた。

UTのテキサス先端コンピューティングセンタで行われたスーパーコンピュータシミュレーションは、熱を加えた時にミクロレベルでジェルに起きていることを理解するのに役立った。化学と物理学の理論に基づいて、シミュレーションは、ナノクリスタルをネットワークに結合させる化学結合のタイプを明らかにした。また熱を加えた時にその化学結合のタイプがどのように壊れ、ジェルを崩壊させるかも明らかにした。

これは、このチームが開発した2番目の珍しいナノクリスタルジェルである。チームは引き続き、この領域で前進を追求している。Kangは現在、4つの状態間で変化可能なナノクリスタルジェルの開発に取り組んでおり、それをさらに多様に、有用にすることができる。そのジェルは、2つのタイプのナノクリスタルの混合であり、各々が化学信号または温度変化に反応して、状態をスイッチすることができる。そのようなチューナブルナノクリスタルジェルは、「プログラマブル」材料と呼ばれている。
(詳細は、https://news.utexas.edu)