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新しいホログラフィックカメラ、見えないところを高精度に見る

March, 14, 2022, McCormick--ノースウエスタン工科大学の研究チームは、角を曲がったところや散乱媒体を通した見えないもの、皮膚、霧あるいは可能性としては人の頭蓋さえを見ることができる新しい高解像度カメラを開発した。

合成波長ホログラフィと呼ばれる新しい方法は、コヒレント光が隠された物体に間接的に散乱し、次に再度散乱して、カメラに戻ってくることで機能する。そこからアルゴリズムが、散乱光信号を再構築し、隠された物体を明らかにする。その高い時間分解能により、その方法は、高速移動物体のイメージングもできる。胸を通して鼓動する心臓、あるいは通りの角をスピードを上げて曲がる車など。
 研究成果は、Nature Communicationsに発表された。

比較的新しい遮蔽あるいは散乱媒体背後の物体のイメージングの研究領域は、見通し外(NLoS)イメージングと言われている。関連するNLoSイメージング技術と比較して、ノースウエスタン工科大学の方法は、サブミリメートル精度で、大面積の全視野画像を素早く捉えることができる。このレベルの解像度で、コンピュータカメラは、潜在的に、皮膚を通して画像を見ることができる、動作している微小な毛細血管でさえ見える。

その方法は非侵襲的医療イメージング、自動車の早期警戒ナビゲーションシステムや強く閉じ込められた空間の工業検査に明らかな潜在力があるが、研究者は潜在的なアプリケーションは無限であると考えている。

McCormick工学部のFlorian Willomitzer、論文の筆頭著者は、「われわれの技術は、新しいイメージング機能の先駆けとなる。現在のセンサプロトタイプは、可視光または赤外光を使うが、原理は汎用的であり、他の波長にも拡張可能である。例えば、同じ方法が宇宙探査の無線、あるいは水中音響イメージングに適用できる。また、多くの領域にも適用できる。われわれは、上っ面をなでたに過ぎない」と語っている。

Willomitzerは、同大学工学部、電気、コンピュータ工学の研究准教授。

散乱光のインターセプト
角を曲がったところを見ることと人の身体内の臓器をイメージングすることとは、非常に異なる問題のように見えるが、Willomitzerによると、それらは実際に密接に関連している。両方とも、散乱媒体を扱う。そこでは光が物体に当たり、散乱して、物体の直接的な画像は、もはや見ることはできない。
 体内の骨を通って散乱する光は、組織内であらゆる方向に散乱し、シャドウ画像を完全にボヤケさせる」

すると、隠された物体を明らかにするには、飛行時間について固有の情報を再構築するために、散乱光のインターセプトが目標になる。

「光の速度よりも速いものは何もない。だから、光の飛行時間を正確に計測しようとすると、超高速ディテクタが必要になる。そのようなディテクタは、恐ろしく高価である」。

改良された波
高速ディテクタを不要にするために、研究チームは、2つのレーザからの光波を融合して、合成光波を生成した。これは、様々な散乱シナリオで特別に調整することができる。

「ホログラムで物体の全視野画像を捉えることができると、物体の3次元形状を完全に再構築できる。われわれは、通常の光波の代わりに合成波で、コーナーの周り、散乱を通して、このホログラフィックイメージングを行った」。

長年、多くのNLoSイメージングが隠れた物体の画像を回復しようとしてきた。しかし、これらの方法は、一般に、一つあるいはさらに多くの問題を抱えている。それは、次のいずれかである。解像度が低く、視野角が極めて小さく、時間がかかるラスタースキャンを必要とする。あるいは、散乱光信号を計測するために大きなプロービングエリアを必要とする。

しかし、新技術は、これらの問題を克服し、角を曲がったところを、散乱媒体でイメージングする。高い空間解像度、高い時間分解能、小さなプロービングエリア、大きな視野角が統合されている。つまり、そのカメラは、強く閉じ込められた微小な特徴、大きなエリアに隠された物体を高い解像度で、たとえその物体が動いていても、イメージングできる。

「壁をミラーに」変える
光は直進するだけなので、新しいデバイスがコーナーを曲がったところを見るには、不透明な障害(壁、藪あるいは自動車)が存在しなければならない。センサユニット(自動車の上部に搭載可能)から放出される光は、その障害で跳ね返り、次に角を曲がったところにある障害物に当たる。次に光は、障害物から跳ね返って戻り、最終的にセンサユニットのディテクタに入る。

「表面の景色から世界を見るために、全ての遠隔面にバーチャルコンピュータカメラを埋め込むことができるようである」。

山道のカーブや田舎の森林の蛇行道路を運転している人々にとっては、この方法は、曲がり角で視界から外れた他の自動車やシカを明らかにすることで事故を防ぐ。「この技術は、壁をミラーに変える。夜、霧の多い天候条件でもその技術は機能する」。

こうして高分解能技術は、医療や産業イメージの内視鏡に取って代わる。柔軟なカメラ、例えば大腸内視鏡の代わりに合成波長ホログラフィは光を使って、腸内の多くの襞の周囲を見ることができる。

同様に、合成波長ホログラフィは、まだ動いている産業装置内部を撮像することができる。これは、現在の内視鏡では不可能な偉業である。

「回転しているタービンがあり、内部欠陥を検査したいなら、一般に内視鏡を使う。しかし、装置が動いている時にのみ明らかになる欠陥もある。内視鏡は使えない。タービンが回転しているとき、前方からタービン内部を見ることはできない。われわれのセンサは、回転しているタービンを見て、1㎜以下の構造を見ることができる」(Willomitzer)。

同技術は、現在プロトタイプであるが、Willomitzerによると、それは最終的にドライバーが事故回避に役立つように使用される。「この種のイメージャが車内に構築されるのは、あるいは医療応用に適用されるのはまだ先のことである。恐らく10年以上かも知れないが、必ずその時代は来る」と同氏は話している。
(詳細は、https://www.mccormick.northwestern.edu)