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ゴーストイメージングを使いX線蛍光化学マッピングをスピードアップ

January, 25, 2022, Washington/Ramat Gan--バル・イラン大学(Bar Ilan University)の研究チームは、X線蛍光を使って化学マップを作るための新しいフォーカスフリー技術を開発した。同アプローチは、生体医学、材料科学、考古学、芸術および産業の幅広いアプリケーション向け化学成分分析に役立つ高速、高分解能計測を可能にする。

「われわれの方法は、よく知られた計算ゴーストイメージングとX線蛍光計測を統合して、高分解能、高効率の方法で化学元素マップを作る。われわれの考えでは、それは、今日可能なよりも高分解能で大きな物体の化学マッピングを可能にし、複雑な3D物体の計測を可能にする」とイスラエルのバル・イラン大学の研究チームリーダー、Sharon Shwartzは話している。

Opticaに発表された論文で、研究チームは、新しいX線計算ゴースト蛍光技術を説明している。そのアプローチは、いかなる焦点調整も必要とせず、必要とされるスキャニングを低減するので、計測時間が大幅に短縮される。また、人の組織に左右されずに特異的要素を検出するように調整できることにより、プライバシーを改善する全身セキュリティスキャナなどの新しいアプリケーションが可能になる。

「レンズが実用的ではないX線エネルギーで実施される医療イメージングも、われわれのアプローチから恩恵を受ける。組織コントラストを強め、あるいは役に立つ画像を得るために必要なX線の線量を減らすことで、医療X線イメージングの品質向上に適用可能である」とShwartzは説明している。

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X線蛍光を使って、サンプル内の化学成分を判定できる。これは、X線源によって励起された後のサンプルから放出される蛍光を計測することでできる。この非破壊分析技術で得られたデータを使って、化学マップを作成できる。マップは、例えば、有名な絵の隠された層を明らかにしたり、重要な航空機部品の検査にも使える。

X線蛍光による化学元素マッピングは、従来、入力X線ビームの焦点を合わせ、エリアから放出される蛍光を計測する必要がある。化学マップは、サンプルを点毎にスキャニングし、各点の蛍光強度を記録することで構築する。しかし、このアプローチは、スキャニングが必要なので、緩慢。また、計測の空間分解能は、焦点調整に用いられるレンズの性能によって制限される。

「20 keV以上の X線エネルギーが使われ、あるいは3D情報を撮ろうとするとき、これらの制約は、一層目立つ」とShwartzは言う。「より高いX線エネギーにより、高密度の重元素を含む厚い物質、サンプルの化学的マッピングが可能になるが、標準技術の限界を超えるので、これらの高いフォトンエネルギーは使用できない」。

レンズの除去
研究チームは、従来のX線蛍光分析の一部の制約を除去するためにコンピュータゴーストイメージングに注目した。この非従来型イメージング法は、個別には対象についての意味のある情報を持たない2つのビームを関連付けきることで機能する。一方のビームは、レファランスとして機能するが、サンプルを直接プローブしないランダムパタンをエンコードする、他方は、そのサンプルと相互作用する。

研究チームは、化学元素のマッピングに使えるように,ゴーストイメージングアプローチを改良した。ゴーストイメージング法は、一般には、透過放射線計測に関わるが、チームは、代わりに、放出蛍光を計測した。

「X線蛍光の計測によりわれわれは、それ固有の放出スペクトルに基づいた各化学元素を特定することができる。放出放射線のエネルギーを分析できるディテクタを利用することで、われわれは、検出された放射線への各元素の貢献を確認できる」(Shwartz)。

ゴーストイメージングに必要なランダムパタンは、物体を照射するために使うビームの強度に既知の空間変調、つまり変化を加えることで一般に作られる。研究チームは、多様な入力ビーム強度パタンのために蛍光計測を反復することで、これを達成した。

まとめ
新しいX線ゴースト蛍光アプローチは、各フォトンエネルギーに2セットのデータを生成する。一つは、入力ビームの空間分布、それに放出蛍光計測のデータ。コンピュータプログラムは次に、これらのデータをまとめて、様々なフォトンエネルギーからの全てのイメージングデータを重ねて、物体の化学元素マップを作り出す。

研究チームは、その新しい方法を利用して、鉄とコバルトで作られた物体の化学元素マップを作成した。圧縮センシングアルゴリズムを使うことで、標準スキャニングベース技術と比べてスキャン数がほぼ1/10に低減できることをチームは示した。

「われわれのセットアップは現在のアプローチと比べて簡素であり、パフォーマンスが高いので、それは、生物学、化学、芸術、考古学など、多くの分野で新たな可能性を開くと期待している。また、われわれの方法を、今日の方法では利用できない高いフォトンエネルギーへの拡張は簡単である」とShwartzは話している。

次に、チームは、新しい方法を3D化学マッピングに適用すること、医療イメージングへのその方法の応用を実証することを計画している。