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TAU、脳腫瘍と闘う3Dプリンティング

January, 5, 2022, Tel Aviv--テルアビブ大学(Tel Aviv University)の主要な開発により、致死性グリオブラストーマの新しい、改善された処置が可能になる。

テルアビブ大学の研究者は、生きた悪性腫瘍を真似る、この種のもので初のグリオブラストーマ腫瘍を3Dプリントした。これにより、処置改善の新しい方法が促進され、最も致死性が高い脳腫瘍のための新薬開発が加速される。

脳腫瘍との闘いでブレイクスルー
 グリオブラストーマは、脳腫瘍の大半を占め、非常に侵襲性が強い、悪名高き致死性である。グリオブラストーマ患者の平均生存時間は、診断から14-15ヶ月である。グリオブラストーマは、素早く、予測不能に広がるので、手術、放射線治療、化学療法および一定のターゲットを絞った治療を含め、既存のアプローチでの処置は特に課題がある。新薬は、患者の予後改善を促進する可能性がある。しかし、ラボにおける既存の薬剤開発法は、時間がかかり、個人の患者身体で処置がどのように働くかを示していない。

その問題に対処するために、TAU研究チームは、世界初のグリオブラストーマ腫瘍の完全機能3Dモデルを作製した。これは、3Dバイオプリントされたガン組織とその発展に影響する周辺腫瘍環境を含んでいる。研究成果は、Science Advancesに発表された。

研究の主席研究者、Ronit Satchi-Fainaroは、「われわれのイノベーションにより、臨床シナリオをよりよく模擬する3D腫瘍にこれまでになくアクセスでき、最適な研究が可能になる」と話している。「ガンは、全ての組織と同様、ペトリ皿、試験管では人体内とは全く異なる振る舞いをする、全実験薬剤の約90%が、治験で失敗する。ラボで実現した成功が、患者で再現されないからである」。

個人化医療へのゲートウエイ
「患者の腫瘍から周辺組織と共にサンプルを採ると、そのサンプルから100の微小腫瘍を3Dプリントし、様々な組合せで多くの異なる薬剤をテストし、この特殊な腫瘍の最適処置を発見することができる」と同氏は説明している。「交互に、3Dプリントした腫瘍で多数の化合物をテストし、さらなる開発と潜在的な薬剤として投資にどれが最も有望かを決めることができる」。

2020年 Kadar Family Award受賞者、Satchi-Fainaroは、「チームのブレイクスルーの最も素晴らしい側面は、ガン細胞に薬剤の新たなターゲットとなるタンパク質と遺伝子を確認したことである」と付け加えている。これは、生きたヒトの脳内の腫瘍に対処するとき、取り分け困難なタスクである。

例えば、研究チームは、その新技術を使って特定のタンパク質のメカニズムを標的にすることができる。これは、以前にチームが、致死性のガン細胞を攻撃するよりもグリオブラストーマの拡大を助ける免疫系の原因と特定したメカニズムである。実験は、成長を遅らせ、グリオブラストーマの浸潤を阻止することに成功した。

Satchi-Fainaro教授によると、この革新的アプローチは、新薬標的の発見を可能にするとともに、現状よりも遙かに速いスピードで新薬開発を可能にする。将来的には、この技術が、患者にとっての個人化医療を容易にすると同教授は見ている。

前進のための発射台
3Dバイオプリントされた腫瘍は、脳を真似たゲル組成からできており、血管のようなチューブの複雑なシステムを含む。そのチューブを血液細胞や薬剤が流れ、実際の腫瘍がどのように発達し、処置にどう反応するかをシミュレートする。

「患者からの腫瘍をバイオプリントするプロセスは、こうである。手術室に行き、腫瘍から組織を抽出して、その患者のMRIにしたがってそれをプリントする。次に、特殊腫瘍でその効率を評価するために約2週間で全ての異なる治療を評価し、どの処置が最適であるかという予測についの答えに戻る」とSatchi-Fainaroは説明している。同氏は、テルアビブ大学、ガン生物学研究センタディレクタ、ガン研究&ナノメディソン研究所長。

患者からの生体サンプルを使い、研究者は、TAUの生理学、Sackler医学部のDr. Asaf Madiのラボとチームを形成し、3Dモデルでガン細胞の遺伝子配列を導いた。そのアプローチで、研究チームは個々の腫瘍の特定の成長率と挙動を複製することができた。その結果、Satchi-Fainaroは「われわれの3Dプリントモデルは、治効予測、創薬ターゲットの発見、新薬開発に、より適している」と話している。

その3D技術は、Ph.D学生、Lena NeureldがSatchi-Fainaroの研究室で他の研究者とともに開発した。

3Dプリントされたモデルは、患者からのサンプルに基づいている。TAU-付属Tel Aviv Sourasky Medical Center (Ichilov Hospital). ニューロサージェリ部の手術室で直接採取した。
(詳細は、https://english.tau.ac.il)