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可視光で水から水素を生成する粉末光触媒の変換効率向上条件明確化

December, 20, 2021, つくば--産業技術総合研究所(産総研)ゼロエミッション国際共同研究センター 人工光合成研究チーム 関和彦上級主任研究員他の研究グループは、可視光で水を水素と酸素に分解する酸硫化物光触媒の一つであるY2Ti2O5S2について、太陽エネルギーから水分解反応エネルギーへの変換効率(変換効率)が実用化の目安となる10%を超えるために必要な条件を明確化した。

 まず、過渡吸収分光法によりY2Ti2O5S2に励起光を当て、1ピコ秒(ps)から1マイクロ秒(µs)までの6桁にわたる時間幅で光励起キャリア濃度の時間変化の測定を行い、粉末形状での光励起キャリアの寿命(キャリア寿命)などの物性データを取得。次に、取得した物性データに基づいたシミュレーション解析を行い、変換効率と粉末粒子径との関係を求め、粒子径を1µmよりも小さくすることによって、変換効率が10%を超える可能性があることがわかった。さらに、キャリア寿命を延ばすドーピングの効果を仮定したシミュレーション解析からは、電子濃度を現状の100分の1にすることによっても変換効率が10%を超える可能性があることがわかった。

この研究で得られた成果は、酸硫化物光触媒のさらなる高効率化のための定量的な指針となる。また、研究で適用された物性データの抽出方法とシミュレーション解析を他の粉末光触媒へ適用することにより、水から水素をさらに効率よく取り出す新規物質の開発が期待できる。

この成果の詳細は、2021年12月7日(英国時間) に英国の電子総合科学誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。

共同研究者
産業技術総合研究所(産総研)ゼロエミッション国際共同研究センター 人工光合成研究チーム 関和彦上級主任研究員、Nandal Vikas 産総研特別研究員、物質計測標準研究部門 ナノ材料構造分析研究グループ 松﨑弘幸研究グループ長、東海林良太 産総研特別研究員は、人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)、徳島大学 古部昭広 教授、京都大学 触媒・電池元素戦略拠点 山下晃一 特任教授、金子正徳 研究員、信州大学 先鋭材料研究所 堂免一成 特別特任教授(東京大学特別教授 兼務)、久富 隆史 准教授、Lihua Lin博士研究員
(詳細は、https://www.aist.go.jp)